2017年10月20日05時14分掲載
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検証・メディア
政界再編に伴う新聞界の再編の必要性 欲しいのは数十万部規模の独立新聞
民進党が分裂して立憲民主党が飛び出し、破竹の勢いを生んでいる。その勢いの原動力は枝野党首が基盤とする「下からの政治」ということにある。官僚と財界と永田町の上からの論理から独立し、民衆の願いを実現する政党を目指す、と言っているのである。このことは昨今、複数の大手新聞社が安倍政権の夕食会に招かれて、政権の広報機関になってきたことと響き合うと言っていいだろう。また、これらの新聞社はグローバリズムに恩恵を受ける大企業群を広告主としている。こうした媒体の上から目線の新聞では描けない現実が広がっており、民衆は潜在的にこれではいけないと十分に感じている。
しかし、インターネット新聞やウェブ媒体はまだ小さな勢力であり、資金も限られ、影響力は大メディアに比べるとはるかに小さく、そのスケールの差が選挙での与党議員と野党議員の数の差につながっていると言って過言ではない。そこでまず必要なのは大手新聞のように400万とか1000万規模の読者を擁しない、数十万部規模の紙媒体ではないだろうか。30万部から50万部くらいだろう。毎日刊行できないなら週刊新聞でもよい。記者クラブに所属せず、大手新聞がごまかしていることをきちんと書けるメディアである。立憲民主党が爆発的人気を呼んでいるのはそのような政党が必要だったからに他ならない。そして紙媒体においても市民は大手新聞に代わる新聞の必要性を感じているはずだ。だが、今どき、新聞の経営は簡単ではないだろうから、抱える記者の数も職員の数も大新聞の数十分の一で支局も国内に3つ4つあれば上出来だし、難しければ東京本社だけでもいいだろう。ウェブサイトで映像と組み合わせれば若い読者もつかめるのではないか。
また家庭欄や文化欄、スポーツ欄などは必要ない。津々浦々の警察署に張り付いている必要もない。そういう記事が読みたい人は大手新聞を併読してもらえばよいのだ。新たな時代の小規模新聞は政治と経済と社会の重要な事項について、しっかり書ければよい。大切なことは大手新聞がネグレクトしていることを重点的に書き、そのことで庶民が新聞に対して批判的な視点を持つことができるようになる、ということである。そして、小規模新聞こそ、読者に今、何を伝えるべきかを知らせることができるという意味でメディア界のキャスティングボードを握るのだ。これにより大手新聞社の中でこのままではいけないと感じているであろう記者や編集者たちを励ますことにもなる。
注意すべきことは日本のメディアはTV局の株主が大手新聞社であり、TV局は首都圏のキー局を中心に全国で互いに提携してネットワークを形成しているように、極めて縦構造的になっており、上層部の意志一つで新聞からテレビまで全体が統制されやすいことだ。日本のメディアが権力に弱い理由がここにある。だから、小規模新聞というものが立ち上がるとしたらその存在意義は大手新聞の子会社などでは意味がない、ということだ。新聞社が週刊誌を作るようなこととは全く異なる精神なのである。上からのメディアとは逆の新しいメディアの必要性は立憲民主党に人々が集まったように、必要性は人々に十分に感じられているのではないだろうか。これで新聞はずっと面白くなる。あとは誰が実現できるか、ということなのだ。
村上良太
■川口由彦著「日本近代法制史」 戦前の法制度を明治維新まで遡って一望する
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■ニュースの三角測量 その2
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■ニューヨークタイムズの論説欄 〜魑魅魍魎の魅力〜
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■改憲後の新聞 「プラウダにイズベスチヤ(ニュース)なし、イズベスチヤにプラウダ(真実)なし」
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■新聞の翻訳力
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