2017年10月23日16時05分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201710231605471
農と食
米国 アイスクリーム大手ベン&ジェリーズがアイス原料をグリホサート・フリーにすると宣言
日本にも出店している米国のアイスクリームメーカーのベン&ジェリーズは、2020年までに原料を発がん性が指摘されてしる除草剤成分グリホサートを使わないグリコサート・フリーにすると発表した。同社のこの発表は、今年7月に有機消費者協会(Organic Consumers Association)が、同社の11製品をテストしたところ、10製品から最大1.74ppbのグリホサートの痕跡が見つかったとの発表受けたもの。これは、国際的な残留基準値のレベルからは十分に低いという。小麦とオート麦の収穫時のグリホサート散布が一番大きな原因としている。(有機農業ニュースクリップ)
同社はまた、2018年に有機アイスクリームを発売し、同社製品の6%を目標に販売するとも発表した。
ベン&ジェリーズは、1978年に米国バーモント州で創業。2012年には日本へも進出している。2000年からは多国籍企業のユニリーバの関連会社となっている。
・Ben & Jerry's
Ben & Jerry’s Statement on Glyphosate
http://www.benjerry.com/about-us/media-center/glyphosate-statement
Towards a Vision of Sustainable Agriculture
http://www.benjerry.com/about-us/media-center/sustainable-agriculture-vision
・New York Times, 2017-7-25
Traces of Controversial Herbicide Are Found in Ben & Jerry’s Ice Cream
https://www.nytimes.com/2017/07/25/dining/ben-and-jerrys-ice-cream-herbicide-glyphosate.html
・Guardian
Ben & Jerry’s to launch glyphosate-free ice-cream after tests find traces of weedkiller
https://www.theguardian.com/environment/2017/oct/09/ben-jerrys-to-launch-glyphosate-free-ice-cream-after-tests-find-traces-of-weedkiller
2015年3月に国際がん研究機関がグリホサートを「おそらく発がん性がある」との評価を発表して以来、グリホサートの安全性への懸念が世界的に強くなってきている。EU市民はグリホサートの全面禁止を求める、法的な市民発議で状況を動かそうとしている。フランスは先ごろ、2022年までに全面使用禁止の方針を公表している。
米国では今年6月、カリフォルニア州がグリホサートを、同州の発がん性物質リストに登載し、製品への表示義務付けに踏み切っている。米国消費者のグリホサートに対する健康懸念は、民間認証機関によるグリホサート・フリー認証が始まるまでになっている。今後、ベン&ジェリーズのような動きが顕在化してくる可能性が大きそうだ。こうした食品の農薬フリーや有機農産物、遺伝子組み換え成分を含まないNon−GMO食品への需要の高まりが、米国産食品全体の「高品質化」へつながるかは、まだまだ分からないが、ジャンク食品との二極分化が進むのかもしれない。
このような欧米の動きに対して、日本ではグリホサートの残留基準値が大幅に緩和されようとしている。このことがニュースにもならないのが日本である。
【関連記事】
・No.784 米国:グリホサート・フリー認証 背景に農薬懸念
http://organic-newsclip.info/log/2017/17030784-2.html
・No.827 米国カリフォルニア州 グリホサートを発がん性物質リストに登載
http://organic-newsclip.info/log/2017/17060827-2.html
・No.785 グリホサート:残留基準値が大幅緩和へ
http://organic-newsclip.info/log/2017/17030785-1.html
■フィプロニル:EUで登録が失効か
ネオニコチノイド系と並ぶ浸透性農薬の一つ、フィプロニルのEUでの農薬登録が失効した模様だ。EUの登録農薬データベースによれば、フィプロニルの登録期限は2017年9月30日であり、失効とは明記していないもの、期限が来ている。EUは2014年から、ミツバチ保護を理由にして、一部の全面禁止を含むフィプロニルの使用の制限していた。決定は加盟23か国の賛成を得ていた。
欧州では今年7月、使用が禁止されているニワトリのダニ駆除にフィプロニルを使ったことから、流通している卵や鶏肉から検出され、「エッグ・スキャンダル」と大きな問題になっていた。
・EU
登録農薬データベース
http://ec.europa.eu/food/plant/pesticides/eu-pesticides-database/public/?event=activesubstance.selection&language=EN
(参考)
・ネオニコチノイド農薬:各国の規制状況
http://organic-newsclip.info/nouyaku/regulation-neonico-table.html
【関連記事】
・No.568 EU:神経毒性農薬フィプロニルの使用制限を決定
http://organic-newsclip.info/log/2013/13070568-1.html
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。