2017年11月11日19時19分掲載
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労働問題
アプリ通じた配車の「請負」ドライバーは「労働者」
イギリス・ロンドンの裁判所は11月10日、ネットのアプリを通じた配車をしている米ウーバー社の契約ドライバーたちは同社の「被雇用者」=労働者で、最低賃金、有給休暇の適用対象だとあらためて認めた。
日本ではウーバー社は苦戦しているが、今や万国共通の課題である「ギグ・エコノミー(非正規、請負経済)」への規制には意味ある判決だ。
今回の判決自体は、昨年10月の同様の判決を追認したもの。労働者としての法的権利を求めて雇用主を提訴したウーバー社のドライバーの主張を認めた判決に、ウーバー側が控訴していた。控訴審の判決も、ドライバーたちが契約上は自営業者だが、実態は従属的な労働者だと明確に認めたわけだ。
昨年の判決と、それまでの経過は、英フィナンシャル・タイムズ(FT)の社説、および日本の労働政策研究・研修機構の記事が詳しい。
http://editorial.x-winz.net/ed-31167
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/11/uk_02.html
FTは今回の判決も歓迎し、「ウーバーの超柔軟ビジネスモデルに打撃 敗訴はギグ・エコノミー全体にも影響」との社説(11日付)を掲載した。関連記事では、ウーバー社が進出を狙っているルクセンブルクのベッテル首相のコメントも紹介している。
「イノベーションは『(働く人のことは)知らないよ』ということではない。ウーバーはイノベーション企業で、私はイノベーションを支援する。しかし、今後10年にわたり月給も年金も社会保障もない人々を生み出すことには反対だ」
欧州の労働組合にとって新たな勝利であり、政府・政策関係者らにとっても、注目の判決となっている。(西条節夫)
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