2017年12月20日23時01分掲載
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欧州
カタルーニャ問題のキーワードは「独立」ではなく「主権」
カタルーニャの独立をめぐる住民投票の本質が、海老原弘子さん(スペイン語・カタルーニャ語翻訳者)の論考で理解できた。海老原さんによると、カタルーニャ問題を解くキーワードは「独立」ではなく「主権」なのだという。スペインにおいては「主権」とは「個人の主権」であると同時に「共同体の主権」つまり「自治の獲得」を意味するという。(大野和興)
『週刊新社会』12月19日号に掲載された「『主権』をキーワードに読むカタルーニャ問題」(上)(海老原弘子)はとても刺激的だ。スペインをのぞく各国メディアはカタルーニャ問題を「独立問題」ととらえ、そう書いている。しかしスペインの左派系メディアは「主権問題」と表現すると、海老原さんは述べている。カタルーニャで住民投票をめざす勢力は独立志向であるかどうかにかかわらず「主権派」と呼ばれる。海老原さんは続けて次のように書いている。
「独立の賛否に関わらず、決定権の行使としての住民投票の実施を主張する人々のことを指す。つまり、カタルーニャ問題の争点は『住民投票をするか否か』であり『独立するか否か』ではないのだ」
ではその「主権」とは何か。海老原さんはまず「主権」の語義を問う。
「《主権》とは、君主の命令に従う臣民が自己決定権を獲得することで市民になるという《人民の主権》」に加え、スペインでは「共同体レベルの主権行使としての「《自治》が大きな意味をもつ」。
だから
「主権の行使を強行したカタルーニャに対して中央政府が『自治の停止』で応えた背景には、《自治》が《主権》と切り離すことできないスペインの事情がある」というのだ。
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