2017年12月27日15時16分掲載  無料記事
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農と食

農水省 ネオニコ系スルホキサフロルを農薬登録

 農水省は12月25日、新たなネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルについて、新たにダウ・アグロサイエンスなど3社の6種類を農薬登録した。同時に厚労省も25日、スルホキサフロルの残留基準値を官報で告示した。スルホキサフロルは2016年3月、米国で承認取り消しを受けて、厚労省審議会での承認作業が中断したが、2017年2月、米国での再登録を受けて再開していた。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 ● スルホキサフロル:適用作物 
  イネ、キャベツ、だいこん、きゅうり、トマト、 
  ミニトマト、レタス、かんきつ、なし、りんご 
 
 ・農水省, 2017-12-25 
  農薬登録情報・速報 
  http://www.acis.famic.go.jp/searchF/index/20171225.html 
 
 ・厚労省, 2017-12-25 
  食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について 
  http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/1225-2.pdf#page=14 
 
 ・厚労省, 2017-12-25 
  「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(食品中の農薬(スルホキサフロル)の残留基準設定)に係る御意見の募集について寄せられた御意見について 
  http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150239&Mode=2 
 
 残留基準値に関する意見公募(パブリックコメント)は2回行われ、1回目に537件、2回目には386件の意見が寄せられたという。その意見の多くが反対だったという。今年5月には、反農薬東京グループなど4団体で構成する「ミツバチと子どもをまもる実行委員会」が約8千筆の承認反対署名を提出していた。こうした多くの反対の声も届かず登録・承認された。なんとも無粋な「メニー・クルシミマス・プレゼント」。 
 
 グリーンピース・ジャパンは26日、「私たち消費者や養蜂家、科学者を含む市民は、1000件以上のパブリックコメントや約8,000筆の署名をとおし、厚労省に対して危険な農薬はいらないと何度も訴えてきました。今回の決定は、その市民の度重なる声や科学的意見を無視するもので、容認しがたい結果です」と、スルホキサフロルの承認を非難する声明を発表した。声明はまた、「世界では、ネオニコチノイド系農薬の規制が進み、自然と調和し人々の健康を第一においた有機農業や自然農法などの生態系農業が広がっています。政府は、危険な農薬の使用拡大をやめ、生態系の力を生かす農業を支援するべきです」と政策転換を求めた。 
 
 ・グリーンピース・ジャパン, 2017-12-26 
  グリーンピース声明「ミツバチに有害な農薬の日本解禁に抗議」厚労省と農水省、ネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの残留基準値および新規登録を決定 
  http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20171226/ 
 
 ・反農薬東京グループ 
  残留基準のパブコメはアリバイづくり〜スルホキサフロルとグリホサートにみる厚労省審議会のいいかげんさ 
  http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t31204.htm 
 
 米国はスルホキサフロルの再登録にあたり、かんきつ類やウリ科野菜(キュウリなど)への使用禁止、リンゴやナス科野菜(トマトなど)への開花期の使用禁止を条件とした。しかし農水省は、米国と使い方が違うとして、開花期規制などを盛り込まなかった。残留基準値を審議する薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)では、こうした点は問題とされず承認された。残留基準値は、白菜、ブロッコリー、コマツナ、レタス、ホウレンソウなど、よく食べる葉もの野菜の残留基準値が6ppmと高く設定されている。 
 
 ●スルホキサフロル使用規制 
  日本:落花後規制なく、作物受粉の7 割を担う野生昆虫 
     への対応なし。開花時も3回〜2回使用可能 
  米国:野生昆虫に対応しかんきつ類、ウリ科野菜は使用 
     禁止。リンゴやナス科野菜へは落花後規制を追加 
  E U:一部ウリ科、ナス科野菜へ1 回のみ 
 
 ・スルホキサフロル(各国比較) 
  http://organic-newsclip.info/doc/1702_Sulfoxaflor.pdf 
 
 2018年9月からネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めたフランスでは、スルホキサフロルは協議のネオニコチノイド系ではないとして登録されたが、行政裁判所は今年11月に環境NGOの訴えを認め、一時差し止め命令を出している。 
 
【関連記事】 
 ・No.809 スルホキサフロル登録反対署名を提出 残留基準値を決める厚労省は「科学的」か? 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17050809-1.html 
 
 ・No.773 緊急署名 スルホキサフロルを承認しないで 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17030773-1.html 
 
 ・No.771 スルホキサフロル 4団体が厚労省へ要望書提出 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17030771-2.html 
 
 ・No.767 スルホキサフロルの承認をやめて 4団体が要望書を提出 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17020767-1.html 
 
 ・No.766 ネオニコ系新農薬スルホキサフロル 近くパブコメか 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17020766-1.html 
 
 ・No.760 スルホキサフロルの承認手続き再開 米国のような「落花後」規制は盛り込まれず 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17020760-1.html 
 
 ・No.869 フランス行政裁判所 スルホキサフロルを一時差し止め 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17120869-1.html 


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