2018年01月17日15時29分掲載  無料記事
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みる・よむ・きく

英国ドキュメンタリー初期の作品「住宅問題」 ロンドンのスラム街の再開発を描いた約15分の短編 社会派ドキュメンタリー番組の原型

  ドキュメンタリーの元祖英国では1930年代に中央郵便局映画班(GPO)でジョン・グリアスンの指揮のもとに試行錯誤が続けられ、初期の代表作を作ってきた。その頃、GPO以外でもドキュメンタリー映画が作られるようになった。「住宅問題」(Housing regeneration ,1935)と題する15分足らずの短編はその当時の傑作の1つにされている。 
 
  「住宅問題」の監督はアーサー・エルトンとエドガー・アンスティで、リチャード・メラン・バーサムの「ノンフィクション映像史」によると、リアリズ映画班というプロダクションが英国ガス協会のために製作した。ロンドンのスラム街の衛生や安全上の問題が住民数人へのインタビューと家屋の実写で行われ、その次に、新しい鉄筋コンクリートによる集合住宅の計画が語られる。その時、ガスの配管を適切に行えば安価で暖房や調理が可能となる、という。英国ガス協会にとってもPRになる内容だが、同時に当時の住宅全般の状況が見えてくる。インタビューで住民が話しているスタイルがカメラに直立しているのは今日から見ると、素朴な印象を与える。また、設計段階の建設プランのモデルを多用して未来の住宅構想を語る、というのも今から見ると素朴な印象もある。それでも問題提起と解決、というしっかりしたドキュメンタリー構成があり、基本的な形が生まれていることがわかる。 
 
 
■短編ドキュメンタリー「住宅問題」 
https://www.youtube.com/watch?v=tphbEpVfv24 


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