2018年01月19日13時30分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201801191330145
農と食
ドイツ大連立予備交渉 GM作物とグリホサート禁止で合意
ドイツのキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の予備的な連立交渉は1月12日、主要政策で合意し、農業分野では遺伝子組み換え作物のドイツ全国での栽培禁止と、グリホサートの出来るだけ早い時期の禁止で合意したとロイターが報じた。(有機農業ニュースクリップ)
ドイツの予備的連立折衝で合意された農業分野の主要政策
・遺伝子組み換え作物の全国での栽培禁止
・速やかに除草剤グリホサートを含む農薬の使用を完全に終了させるべく、その使用の制限
昨年12月、EU委員会のグリホサート登録延長の加盟国投票においてドイツは、これまでの棄権ではなく農業大臣の独断で賛成票を投じた。この結果、僅差で登録延長が決まった。グリホサート禁止を求めるEU市民の声は大きく、禁止を求める欧州市民発議には半年余りで100万人以上の署名が集まっていた。こうした声を背景に、グリホサート禁止が政治的な問題となっていた。
昨年9月に行なわれたドイツ総選挙において、与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は246議席(34.7%)しか獲得できず、これまで延々と連立交渉が続いていた。社会民主党(SPD)との大連立が成立すれば、ドイツの反遺伝子組み換え、グリホサート禁止の姿勢がよりはっきりとすることになる。
EU委員会は2015年、遺伝子組み換え作物栽培に関する権限を加盟国政府に委ねる政策変更を行なった。これによりドイツは、栽培禁止を決めていた。今回の合意は、その立場を再度確認したことになる。
・Reuters, 2018-1-12
Factbox: Key policies agreed in German exploratory coalition talks
https://www.reuters.com/article/us-germany-politics-policies-factbox/factbox-key-policies-agreed-in-german-exploratory-coalition-talks-idUSKBN1F1150
・Sustainable Pulse
New German Government Would Ban Glyphosate Herbicides in Shock to Monsanto-Bayer Merger
https://sustainablepulse.com/2018/01/12/new-german-government-would-ban-glyphosate-herbicides-in-shock-to-monsanto-bayer-deal/
フランスやイタリアを含むグリホサート禁止に賛成するEU加盟6か国は昨年12月、グリホサート禁止の出口戦力の策定を求める書簡をEU委員長へ送っている。ドイツの大連立が成立すれば、EUのグリホサート禁止への方向がより大きくなる。欧州の動きは、唯々諾々とグリホサート農薬を登録し続ける日本とは大きな違いがあり、「予防原則」への考え方の差がはっきりとでているといえるだろう。
【関連記事】
・No.866 EU かろうじてグリホサートの登録5年延長を決定 「変心」したドイツが賛成に回る
http://organic-newsclip.info/log/2017/17110866-1.html
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。