2018年01月20日22時15分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201801202215306

みる・よむ・きく

第二次大戦後のインドネシア独立の裏話 ヨ―リス・イヴェンス監督「インドネシアは呼んでいる」(1946)  ”Indonesia calling”  Joris Ivens, 1946

  第二次大戦が1945年に終結した後、アジアでは植民地だった国々が次々と独立を成し遂げた。オランダ出身のドキュメンタリー映画監督ヨ―リス・イヴェンスは1946年にインドネシアの独立の裏話を撮影している。それはオーストラリアの港湾労働者の組合が製作した映画で、”Indonesia calling”(インドネシアは呼んでいる)と名づけられている22分の短編ドキュメンタリー映画である。映画の冒頭にも記されているが、この映画はインドネシアの独立を願って製作された。それがオーストラリア映画だというところが「なぜだろう?」と思わせる。 
 
  この映画は第二次大戦中にインドネシア人が連合軍側で日本軍と戦い、オーストラリアで活動していた人々が存在していたことを示しており、両国民の労働者同士の友情が芽生えていたらしいことがうかがえる。オーストラリアと言えばかつては白豪主義=白人中心主義の国と言う印象が強かったのだが、この映画を見る限りでは有色人種であるインドネシア人を助けていた。この映画ではシドニーに停泊していたオランダの商船がインドネシアに向けて武器弾薬を輸送しようとするのだが、それらがオランダがインドネシアの独立運動を鎮圧するためのものだと知った労働者たちが懸命に船を止めるように船員たちに向けて説得工作を行う。結果、船が止まってやがてはインドネシアが独立を成し遂げる。 
 
  ヨ―リス・イヴェンス監督はオランダ人だったから、自国の植民地政策を批判する映画を作ったことで当時は政府からにらまれていたという。今日から見ると、戦後のアジアの独立運動の息吹きが伝わる映画である。 
 
 
 
■ヨ―リス・イヴェンス監督「インドネシアは呼んでいる」(1946) 
https://www.youtube.com/watch?v=iAzfM9cQvZQ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。