2018年01月29日03時05分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

ガス室で殺された親族を思う  ナターリア・ミロポルスキー(Natalia Milopolsky)さんへのインタビュー

  ナターリア・ミロポルスキー(Natalia Milopolsky)さんは親族が人種差別主義によって殺されたと言います。欧州在住のミロポルスキーさんはユダヤ系で、親族がガス室で殺されたのもそのせいだったのです。そして、1月27日は特に彼女を思う日でした。 
 
Aujourd'hui particulierement je pense a ma grande-tante, si belle, que je n'ai jamais rencontree car elle a ete tuee dans une chambre a gaz... 
 
 「今日という日は私にとっては祖母の姉妹のことを考える日です。とても美しかった人でしたが、私は会ったことがありません。というのもガス室で殺されてしまったからでした。」 
 
  ナターリアさんがこれについて思うのは強制収容所を経験した作家のプリモ・レヴィの言葉でした。 
 
“Monsters exist, but they are too few in number to be truly dangerous. More dangerous are the common men, the functionaries ready to believe and to act without asking questions.” 
Primo Levi 
 
 「怪物は実在する。しかし、その数は決して多くはない。本当に危険なのはむしろ、普通の人間たちなのだ。疑問を持つことがなく、機械のように信じ込み、行動するだけの人間たちこそ真に危険な存在である」(プリモ・レヴィ) 
 
  この言葉はユダヤ系の政治哲学者ハンナ・アレントの言葉とも響き合います。エルサレムでアドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴してノンフィクションの本に記したあの言葉、「悪の凡庸さ」です。特別に残忍な人間はそう多くはなく、むしろ、アイヒマンのように上司に命令されて仕方なくそうしただけだ、という人間たちが殺人機械となって多くの人の命を奪っていくというのです。 
 
Q Do you have other information ? 
 他にその方の情報をお持ちですか? 
 
 The only thing my grand-mother (her sister) told me is that she, as well as some other Jews was betrayed by some west-ukranian police, collaborating with nazies, so that they were captured and deported...Most of my family lived in Moscow, as some Jewish intellectuals were authorised, but those who stayed in Poland and Ukrained were killed... 
 
  私の祖母は妹について、ただ一言、こう言っていました。彼女はナチスと結託したウクライナ西部の警察の裏切りで逮捕され、収容所に移送されたのだ、と。私の家族の多くはモスクワで暮らしていまして、ユダヤ系の知識人たちは在住を認められていました。しかし、ポーランドやウクライナにいたユダヤ人の親族は捕まって殺されたのです。 
 
Q ,Where was she when she was arrested ? 
 
  あなたの祖母の妹さんが捕まった場所というのはいったいどこだったんですか? 
 
During the Soviet period such things were hidden from the members of the family, to keep them safe. 
 
  ソビエト時代はこうした情報は家族には隠されていたものでした。というのも安全を守るためでした。 
 
Q So you don't know ? 
 
  つまり、あなたはそのことはご存じないのですね? 
 
The little town Bershad 
 
  ベールシャジ(Bershad)という小さな町でした。 
 
Q In Soviet ? 
 
  それはソビエトの? 
 
Yes, the west of Ukraine 
 
  ええ、ウクライナ西部です。 
 
Q, killed in Auschwitz ? 
 
  ガス室というのはアウシュビッツのことですか? 
 
I am not sure about Auschwitz, it could be another camp. My mother's ansectors have Austro-Hungarian origins. I mean Austro-Hungarian Jews, like Freud's. 
 
  アウシュビッツかどうかはわかりません。他の絶滅収容所だったかもしれません。私の母の先祖というのはオーストリア・ハンガリーの出身です。つまり、ジグムント・フロイトと同じオーストリア・ハンガリーのユダヤ系ということになります。 
 
Q Thank you very much, how should I introduce you ? 
 
ありがとうございました。あなたについてどのように紹介すればよいのでしょうか? 
 
I am a philosopher and psychoanalyst, traind in Great Britain and working in Paris, 
 
  私は哲学者で精神分析学者です。高等教育を受けたのは英国で、働いているのはパリ、ということになりますね。 
 
Q In the end, could you please tell me why you think about your family member who was killed in gas chamber , particularly today ? 
 
  最後にどうしてもお聞きしたいのはガス室で殺された親族のことを思うのがなぜ今日(1月27日)なのですか? 
 
You did what in Jewish tradition is called ”mitzva” - le devoir moral, so that my family sacrifice won't be forgotten. 27 January is the International Holocaust Memory day. 6 million Jews were killed by nazies during the 2nd World War... 
 
  あなたがなさったのはユダヤ民族の伝統であるmitzvaという行為です。それは犠牲になった家族を忘れないための道徳的な義務なのです。そして1月27日は国際ホロコーストメモリーデーに当たります。第二次大戦で殺されたユダヤ人は600万人にも及ぶのです。 


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