2018年01月29日07時32分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】 モロッコと西サハラは同席しなかったの? 平田伊都子

【西サハラ最新情報】で、西サハラ代表とモロッコ代表が握手をしている写真を掲載する予定でした。 ところが、見て下さい! この写真、、 写っているのは、国連ホルスト事務総長西サハラ個人特使側の人間と、西サハラ代表団のみ。 モロッコ代表団はいないのです。 せっかく楽しみにしていたのに、何が起こったのでしょうね? ネットに流れる通信社からのニュースを拾い集めました。 
 
(1)ベルリン2018年1月25日: 
 モロッコ側ネット通信は、1月24日から26日にかけて、国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領がベルリンで両当事者交渉を主催すると、発表した。国連報道官も<Birateral discussions(両者の協議)>に、両当事者と隣接する2か国を招待したと、記者発表した。西サハラネット通信は何も報道しなかった。が、1月25日、ドイツのベルリンにある元大統領の事務所に来たのは、西サハラ代表団だけだった。もう一方の当事者モロッコや、アルジェリアとモーリタニアの隣接2か国の姿はなかった。西サハラ代表団は写真の左端から、女性連盟議長ファティマ・アルマハディ、西サハラ交渉団員モハンマド・アリ・ザンワル、西サハラ大統領ブラヒム・ガリ、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)西サハラ代表モハンマド・ハッダド、西サハラ国会議長ハトリ・アドウ。向かい側に、右から二番目の国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラーと、ベルリン・スタッフが並ぶ。 
 MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の西サハラ交渉代表ハッダドは、「両当事者協議は25日と26日両日にわたり、協議は自由闊達で建設的に行われた。我々は西サハラの脱植民地化達成に努力する国連事務総長西サハラ個人特使に、協力を惜しまない。我々は西サハラ民族自決権に基ずく国連西サハラ住民投票を目指すことを、改めて表明した」と、語った。 
 もしかして、壁の向こう側にはモロッコ代表団がいて、忍者屋敷のように壁が回転し、10年ぶりの両当事者直接交渉が始まる、、と、筆者は期待したのだが、、 
 
(2)ラバト2018年1月25日: 
 1月25日、モロッコの首都ラバトでモロッコ政府スポークスマンのムスタファ・エルハルフィが記者会見を開き、「本日1月25日、国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラーから、(両当事者に対して、但し個別に)モロッコとの会談に関する招待状を受けていることを、政府は公式に宣言する。これは交渉ではなく、あくまでも別々の招待で、モロッコとの面会場所や日程は明確にされていない。モロッコはこれまでのように、国連に協力する。しかし、このテーマ(西サハラ紛争)を、王国が国内問題としていることに、変わりはない」と、モロッコはこの問題(西サハラ)に関して、両当事者の協議や会合を拒否した。招待状は1月23日に送られている。 
 モロッコ・ネット通信は、「国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラーは、3月国連安保理に作業報告をしなければならない。その結果は、4月の安保理西サハラ決議を左右する。大した実績を挙げられなければ、最悪、首になる可能性もなきにしもあらず。2017年10月からケーラーは関係諸国を訪問し、西サハラ難民大統領やモロッコ国王などの首脳に会い、AUやEUのトップを煩わせた手前、10年間中断している両当事者交渉を再開させ、体裁を繕いたいのだろう、、」と、分析している。あるモロッコ人の評論家は、「交渉への参加は、モロッコの政治的失点になる」と、警告している。 
 
(3)ラユーン2018年1月25日: 
 1月25日早朝、 1918年生まれの西サハラ独立運動家デイダ・ワリド・ヤジドがモロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンで逝去した。モロッコ占領軍が遺体を没収する前に、遺族はグデイム・イジク共同墓地に埋葬した。墓地から帰宅した遺族たちがテントを張って葬儀を取り仕切ろうとした途端、モロッコ占領軍が襲撃し、テントを壊した。 
 長老デイダが埋葬されたグデイム・イジクでは、2010年10月にラユーンの西サハラ住住民約20,000人が約8,000張のテントを張って平和抗議デモを始めた。 
 1か月後にモロッコ治安部隊が突入し、36人を殺し723人に重傷を負わせ、数百人を逮捕した。2017年7月18日、モロッコはデモ参加者6人に終身刑、3人に30年,5人に25年、3人に20年、残り3人には6年から4年の実刑判決を下した。 
 2018年1月18日、HRW(ヒューマン・ライト・ウオッチ)が2017年度の人権侵害状況を公表し、グデイム・イジク平和抗議デモに対するモロッコの弾圧と、収監しているデモ参加者への拷問と、過酷な裁判判決を糾弾した。HRWの報告に、モロッコ政府スポークスマンは強く反発した。 
 
 忍者屋敷のからくりもなし、元ドイツ大統領の威力も効かない、、 結局、西サハラ紛争解決の「両当事者交渉」第一弾は不発に終わりました。 国連事務総長アントニオ・グテーレスはダボス会議をドタキャンして、1月27日にAU首脳会議開催地、エチオピアのアジスアベバに入りました。 首脳会議は1月28日と29日に行われ、西サハラ難民政府大統領ブラヒム・ガリもアジスアベバに到着しました。 ところが、参加を表明していたモロッコ国王ムハンマド裟い、突然、ドタキャンしたのです。 理由が発表されるわけなどありません。 
 国王の御心は?? 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年1月29日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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