2018年02月18日20時40分掲載
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コラム
放送界の文化大革命 日本の紅衛兵たち
放送の世界も世代によって価値観が異なっている。バブル時代に青春期を送った世代が世界に飛び出して、世界の人々と交流しながら外国から学ぶことを大切にする傾向があったとしたら、その後の世代は真逆になっていくのである。思い出せば明らかだが、外国にさほど関心がない世代となるのだ。それからさらに世代を下れば、外国から学ぶのではなく外国に日本の素晴らしい技術や文化を教えることに中心を置く世代、となっていく。
今、放送の世界で大きな力を持ったのが日本人の素晴らしさで世界を救え、という発想の世代である。外国から学ぶと言うよりもむしろ、日本の素晴らしい底力が世界を救うのであり、学ぶのは外国の人々ということになる。このような傾向のある世代が番組のラインナップを決める時代が訪れたのである。そのことは経済だけでなく、自衛隊や防衛の未来をどう報じるか、ということにも結び付いていく可能性が高い。だから、将来、どのようなテレビの時代が訪れるか、ということを知るにはこれから力を得る世代がどのような青春を送り、どのような価値観をはぐくんできたか、と言う視点が必要である。
ロスジェネと言われた就職難の世代や、いじめを体験した世代の人々の中には、年上の世代が後生大事にしている日本国憲法というものが、どれほど自分たちの世代を本当に守ってくれたのか、と疑問を持つ人も少なくないのかもしれない。その意味では安倍政権から圧力を受けてへたっているのではなく、もともと安倍政権と価値観が近く、安倍政権の方向性をよしと考える人たちが放送界で実力を得た時代の本格的到来と言えるかもしれない。「戦後民主主義」として思い出せる良い思い出が何一つない世代かもしれない。むしろ今、ヘタレているのはその上の世代だろう。戦後民主主義の象徴と言える憲法をよし、とするような立派な番組を数多く作ってきた人々が今の時代をどう生きるか。年上世代の建て前と本音を若い実力者たちはリアリスティックに見つめているはずである。戦後民主主義が虚妄だったかどうかはそこにかかっている。
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