2018年03月04日15時51分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201803041551500

沖縄/日米安保

辺野古新基地反対の民意は変わらない 安倍政権の暴走を許すな!

<なりふり構わず基地建設を進める安倍政権> 
 
「(辺野古に基地を造らせないという)民意は生きている」。 
“辺野古新基地容認派”の渡具知武豊氏が当選した名護市長選挙翌日の2月5日、翁長雄志沖縄県知事はきっぱりとこう語った。 
 事実、選挙直前に行われた世論調査や投票所の出口調査でも“辺野古新基地反対”が過半数を示していた。そうした民意がありながら、稲嶺進さんは何故当選できなかったのだろうか? 
 一つには、自民・公明党が推薦した渡具知陣営が、辺野古基地建設問題に一切言及せず、徹底して争点から外した点だ。応援に来た自公議員にも「絶対に辺野古の『へ』の字は使うな」と箝口令が引かれていたそうだ。 
 また、菅官房長官や二階自民党幹事長を先頭に、政府・与党の幹部クラスが応援に駆け付けるなど、政府・国家を挙げて名護市民を抑え込むという、地方自治の否定とも言えるやり方が取られた。 
 稲嶺さんは、米軍再編交付金を停止されながらも、自助努力によって雇用や福祉、教育などの分野で豊かな市政を実現してきた。 
 にも関わらず、渡具知陣営の「稲嶺市政は停滞している」「赤字が増大した」とのデマ、誹謗中傷宣伝は凄まじかったという。 
 基地建設の選択を迫られるたびに反対の意思を示してきた名護市民は、「何度意思表示をしたら分かってくれるのですか?」というのが正直な気持ちではないだろうか?そこまで名護市民に苦渋の選択を強いているのは“本土政府”であり、それを許している私たち“本土”の住民だということを忘れてはならない。 
 
 ただ、渡具知氏も当選後は「基地を容認している訳ではない」「私を支持した人の中にも基地反対の人はいる」と言明せざるを得なかった。支援してくれた公明党との政策協定・「海兵隊の県外移転」を実現しようとすれば、海兵隊の基地である辺野古基地は不要になるからだ。 
 ところが安倍政権は、名護市民が辺野古基地建設に賛成したとばかりに、埋立て工事を加速している。投票日翌日の2月5日以降、これまで最多のトラック300台分を超える量の土砂、資材がキャンプシュワブ内に運び込まれている。また、稲嶺市長時代8年間に凍結していた再編交付金を、その8年分も併せて支給するという露骨な対応も見せている。何とも醜悪な政府であることか! 
 
<頻発する米軍機のトラブル・事故> 
 
 昨年から頻発している米軍機のトラブル、事故が止まらない。 
 今年1月だけでも、6日にうるま市・伊計島に普天間基地所属のUH1Y多用途ヘリが砂浜に不時着、8日には読谷村儀間の廃棄物処理地に同基地所属のAH1Z攻撃ヘリが不時着した。23日にも同型機が渡名喜村の急患搬送用ヘリポートに不時着した。 
 2月9日には再びうるま市・伊計島大泊ビーチで普天間基地所属のオスプレイのエンジン部品が発見されたが、米軍からは一切報告がなかった。見つからなければごまかし通せると思っていたのだろう。23日には、昨年12月に校庭に米軍ヘリの窓枠が落下した普天間第二小学校の上空を米海軍所属とみられるヘリ1機が飛行した。「学校の上空は飛ばない」という日米合意違反が明らかで、子供たちの安全が脅かされている。 
 
 沖縄でないところでも事故が起きている。2月20日には米軍三沢基地(青森県三沢市)を離陸した同基地所属のF16戦闘機のエンジンから出火するトラブルがあり、同機は外付け式の補助燃料タンク2個を基地の北側にある小川原湖に投棄し、約3分後に基地に引き返して着陸したという。米軍関係者は、漁民の生産地でもある湖に危険物を勝手に投下しておきながら「人がいないことを確認して投棄した」とうそぶいている。 
 
 これだけ米軍機のトラブルが頻発するのは、米軍の整備体制や兵士の規律、技能に根本的な欠陥があるとしか言いようがない。しかも、「一番安全な場所に降ろす措置に満足している」(ハリス太平洋軍司令官)、「車も故障する。未然にチェックするのは厳しい」(クラーク在沖縄海兵隊外交部長)といった発言に見られるように、米軍には住民に不安や恐怖を与えているという自覚が全くなく、責任感が欠落している。 
 米軍は日本を独立した主権国家とは見ておらず、何をやっても許される植民地、占領地と見ているのではないか。治外法権の振る舞いを許している日米地位協定を改めない限り同じことが永遠に続くだろう。 
 
<大浦湾に活断層!?> 
 
 辺野古の海では2月に入り、K2護岸工事が始まるなど現在5カ所で護岸工事が進み、護岸に囲まれた区域に6月にも石材が投入され本格的な埋立てが始まると言われている。これでも工事全体からすれば数パーセントだが、政府は「後戻りできない状態」という印象を与え、沖縄の人々を諦めさせようとしている。 
 
 この間、大浦湾に活断層が走っているという指摘が相次いでいる。防衛庁(当時)が2000年10月に提示した推定地層断面図にも50m以上の“断層によると考えられる落ち込み”が記載されていて、加藤祐三琉球大学名誉教授(防災地質学)は、「比較的、新しい時代にできたものであり、活断層である可能性が高い」(『琉球新報』2017年10月25日)と指摘している。 
 実は、一昨年3月に海底ボーリング調査が終わったはずの大浦湾で、昨年2月に巨大特殊掘削調査船ポセイドンが投入されて調査が続けられていた。これは「琉球石灰岩の空洞化を調べるための音波探査ではないか」と言われている。そして防衛局は「『既存の文献』には活断層の存在を示す記載はない」と否定しながら、ポセイドンの調査記録を明らかにしようとはしない。防衛省は全ての調査結果を公表すべきだ。 
 
<進む沖縄の軍事基地化> 
 
 沖縄では「中国脅威論」を口実に自衛隊の新基地建設が進んでいる。 
 すでに与那国島には1昨年、6基のレーダーが建設され、150名の沿岸監視隊が配備。 
 宮古島では昨年12月20日、陸上自衛隊警備部隊・ミサイル部隊駐屯地の建設工事が着手された。宮古島には射撃訓練場や弾薬庫建設も計画されている。 
 また、石垣島にも地対艦、地対空ミサイル部隊配備が計画されている。 
 政府はまた、地対艦誘導弾(SSM)の部隊を沖縄本島に配備する検討に入ったとも言われている。これは、2013年に策定された新防衛大綱の「南西地域の防衛態勢の強化、防衛力装備を優先」計画の一環だ。安倍政権は、口先では「沖縄への基地負担の軽減」というが、実際には軽減どころか逆に増大させているのだ。 
 こうした中、天皇が3月に初めて与那国島を訪問する。沖縄に着く3月27日は明治12年の“琉球処分”の日であり、与那国を訪れる翌28日は一昨年に駐屯地が開設された日だというのは偶然だろうか?天皇の訪問は、単純に慰霊や住民への激励ではない。新たな“琉球処分”、自衛隊(日本軍)への反発を和らげるための極めて政治的な行為ではないのか。 
 
<3月14日の緊急行動に是非参加を!> 
 
 3月13日には、沖縄県の岩礁破砕許可を得ないで進めている辺野古埋め立て工事について、沖縄県が国を相手取った差し止め訴訟の判決が、翌14日には、山城博治さんなどに対する辺野古・高江政治弾圧裁判の判決が那覇地裁で下される。 
 政府の意向に沿った判断を続ける司法が憲法、地方自治を尊重するとは思えない。判決の内容によっては、安倍政権の更なる強行策が加速する可能性がある。 
 私たちは、予想される不当判決に抗議する緊急行動を3月14日6時半から首相官邸前で行う。沖縄の民意を踏みにじり、新基地建設を強行する安倍政権へ抗議の声を集中しよう。(辺野古への基地建設を許さない実行委員会・中村利也) 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。