2018年03月31日14時55分掲載
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検証・メディア
NHK経営委員会の石原進氏(現在、経営委員長)と原発再稼働 七沢潔著『テレビと原発報道の60年』(彩流社)に圧力の経緯が書かれている
リテラに「NHKディレクターが原発報道への圧力を明かした! 経営委員会で原発推進の番組をつくれという指示が」という見出しの記事があります。UPされたのは2016年。2016年5月に出版された『テレビと原発報道の60年』(七沢潔/彩流社)にNHK内部の圧力が書かれているらしい。このリテラの記事にはNHK経営委員会がどのような世界なのか、赤裸々に書かれているようなので紹介したい。以下はリテラの引用である。
http://lite-ra.com/2016/06/post-2353.html
「それだけではない。11年6月28日、NHK最高意思決定機関の経営委員会で、『ネットワークでつくる放射能汚染地図』が問題になった。
「その日の経営委員会の席上、視聴者対応担当の理事がインターネットでこの番組の話題が広がり、子育て世代の女性を中心に多くの反響が寄せられていることを紹介、国際日本文化研究センター教授の経営委員長代行が、原発事故の放射能汚染は国民の関心事なので『政治を変えていく』くらいのインパクトをもつ番組を作っていただきたいと要望した。するとJR九州会長の経営委員が『日本の原発54機が全部止まってしまうと、エネルギーの大危機がくる。これについてはどういう番組を作っておられるのか』と発言、鉄鋼業界出身で後の東電会長となる経営委員も『国際放送で、稼働している原発の停止について、日本はどう考えているのかを国際的なスタンダードで世論をリードできるような政治家や科学者の座談会のような番組を作ってもらえれば』と述べた」
「NHK経営委員会のなかでは、原発の危険性を指摘する番組よりも再稼働を推進する番組をつくれ、といった唖然とするような議論がかわされていたのだ。ちなみに同書では匿名だが、“JR九州会長”とは当時代表取締役会長で現在は相談役の石原進氏、そして“鉄鋼業界出身で後の東電会長”は川崎製鉄出身で現在は東電会長の数土文夫氏だ。」(リテラの記事から)
石原進JR九州相談役(当時)は2014年7月27日の赤旗の記事によると、原発再稼働を進めるために九州電力の貫正義(ぬきまさよし)会長とともに福岡を訪れた安倍首相と会食し、川内原発の再稼働の内諾を得たとされる。つまり、石原氏は利害関係者の立場からNHK経営委員会で原発再稼働を進める番組を求める発言をしていたことになる。さらに2016年にNHK経営委員長に就任するまで改憲を進める圧力団体の日本会議福岡の名誉顧問でもあった。
石原進氏がNHK経営委員になった2010年12月は民主党政権かだったが、翌3月11日に東日本大震災が起き、福島第一原発事故が起きるに至って、まさにNHKで原発再稼働の論陣を張っていったようである。しかも、上記の通り自ら産業ロビイストとして政界の安倍首相にアクセスして再稼働を要求していたとの報道がある。
一方で、改憲の推進団体である日本会議福岡の名誉顧問だったことから、改憲に向けた世論形成にもNHKを使っていたのではないか、という推測が当然ながら起きても異常ではない。自民党の平成24年の改憲案は憲法学者もあまりにもひどい、と考えるシロモノだが、NHKは憲法記念日などにまさか「両論併記」的な番組を作ってこなかったのか、ということだ。つまり、日本国憲法と自民党改憲案をどっちにも言い分がある、みたいな報道をしてこなかったのか、ということだ。たとえば「クローズアップ現代+」なんかはどうだったろう。今後、継続して調査されるべき点だと思う。そして、その編集室でどんな圧力があったのか、なかったのか、ということだ。
2010年12月にNHK経営委員になり、2016年6月にNHK経営委員長になった石原進氏はまさに第二次安倍政権の台頭とほぼ期を一にして活動してきた。そして、その間、NHKは「皆さまのNHK」とは程遠く、安倍晋三の放送局と揶揄される存在になってしまった。2013年暮れにNHK会長に籾井勝人氏を推薦したのも石原氏だった。
南田望洋
※NHK経営委員会
「NHKには、経営に関する基本方針、内部統制に関する体制の整備をはじめ、毎年度の予算・事業計画、番組編集の基本計画などを決定し、役員の職務の執行を監督する機関として、経営委員会が設置されています。」(NHK経営委員会のウェブサイトから)
番組編集の基本計画の決定も経営委員会が握っている。つまり、極右組織名誉顧問だった石原委員長が率いる組織で決定される。
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