2018年04月09日14時36分掲載
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核・原子力
玄海原発3号機、再稼働1週間で事故 根本行雄
九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)は3月23日に7年3カ月ぶりに再稼働した。しかし、31日、前日夜に配管から微量の蒸気漏れが確認されたため、発電と送電を停止した。九電は、原子炉の運転に問題はなく、周辺への放射性物質の漏れもないと発表している。再稼働したばかりの3号機の今後の工程がずれ込むのは必至で、5月中を見込む4号機の再稼働の遅れも避けられそうにない。私たちは、一日も早く、再び、原発事故の起こる前に、すべての原発を廃炉にして、自然エネルギーを利用する社会へ変えていこう。
ここのところ、毎日のように、テレビでは、NEXCO東日本が実施する高速道路の大規模更新・修繕事業プロジェクトの広告が流れている。
「高速道路の誕生から約半世紀。その約4割が開通30年を超え、老朽化が進んでいます。 これからも暮らしや物流を支える安全な道路であるために。 現在、最先端の技術を駆使し、機能の向上と長寿命化を図る『高速道路リニューアルプロジェクト』を実施しています。 ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします」
私たちが建造している建築物などには老朽化がある。高速道路でさえ、わずか、30年あまりで、リニューアルする必要があるほどに傷んでいるのだ。事故が起こったり、またしても、大地震が発生したり、そういうことが起こらないはずがない。それに備えて、点検を行い、老朽化したところや破損しているところなどを見つけ出し、補修したり、修理したりなど、必要な対策は取らなくてはならない。そんなあたりまえのことを、原発に対しては、私たちは、ほぼ永久に管理し、放射能が漏れ出さないようにしなければならない。放射能のなかには何十万年も危険性がなくならないものがあるからだ。(ちなみに、「プルトニウム239」の半減期は、2万4100年と言われている。)こんな長期間を安全に管理することは、私たちにとっては不可能なことだ。それができると主張する人は、思いあがっているのだ。そうでなければ、放射能による被害を異常に過小評価しているのだ。現実を直視していないのだ。
毎日新聞(2018年3月31日)の浅川大樹記者は、次のように伝えている。
九電によると、30日午後7時ごろ、巡回中の作業員が放射性物質を含まない2次系の配管から蒸気が漏れているのを確認した。31日午前1時から出力を下げる作業を始め、午前6時過ぎに発電と送電を停止した。核分裂を抑える制御棒は入れず、原子炉内の核分裂反応が連続する「臨界」は維持する。
九電は玄海3号機を4月5日からフル出力運転し、同24日に営業運転に移行する予定だった。だが今回のトラブルは、再稼働工程に与える影響度合いを5段階に分けた九電のレベル分けで、発電を停止して補修などが必要になる上から2番目のレベルに当たる。3号機の再稼働にめどが立たないと4号機も動かせないため、2基とも再稼働は遅れる見込みだ。
原子力規制委員会によると、東京電力福島第1原発事故後に再稼働した原発がトラブルで発電と送電を停止するのは、2016年2月の関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)に続き2例目となる。
原発の事故とは、ゆっくりと、着実に近づいてきているものであり、そして、それは突然に発生するものである。
反原発の主張は、とっても単純明快だ。
原発を動かせば、必ず、大量の、放射線を発する物質である「放射能」のゴミができる。放射能は、私たち人間だけでなく、すべての生き物の生命を脅かすものである。この放射能のことを、ウランを燃やしたあとに残る恐るべき物質という意味で、一般には「死の灰」と呼ばれている。しかも、放射能のなかには何十万年も危険性がなくならないものがある。(ちなみに、「プルトニウム239」の半減期は、2万4100年と言われている。)だから、わたしたちは原発の生み出した放射能をほぼ永久に管理し、放射能が漏れ出さないようにしなければならない。しかし、放射能を安全に管理する方法について、現在のわたしたちは知らない。そして、未来の人々が放射能を安全に管理する知識を得て、安全に管理する方法や技術を発見できるかどうかはわからない。ネモトはそれは不可能だと考えている。
原発は、施設そのものも、時期が来れば放射能のゴミになる。原子炉はもちろん、熱湯・蒸気などが通る管、蒸気発生器、原子炉格納容器など、すべてが放射能で汚染されている。現在動いている原発は、当初は、施設の寿命は20年から30年だと言われていた。しかし、その後、少しずつ延長されて、現在は40年とか50年と言われている。そして、さらに老朽化した原発を再延長している。
原子力発電をするということは、大量の放射能のゴミを生み出すばかりではなく、それを「負の遺産」として、何百世代も先の子どもたちに残していくということである。だから、わたしたちは、核の恐怖のない、原子力に頼らない社会へ、できるだけ早く移行する必要がある。そのためには、放射能のゴミを安全に管理する方法を見つけ出し、エコ・エネルギーを利用する発電やエネルギーのつくり方、使い方を具体化していく必要がある。自然エネルギーを利用する太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、波力発電、地熱発電、などなど。自然エネルギーを利用する方法をさらに活発にしていく必要がある。
原発事故は、そこに暮らしていた人たちの生活基盤を破壊する。フクシマをみればわかるように、その被害は今も続いている。政府も、東京電力も、原発推進派も、一日も早い、幕引きをしたいとやっきになっているが、それはとうてい不可能なことなのだ。それがわからないから、それを軽視しているから、彼らは依然として原子力発電を推進し続けている。
我利我利亡者たちは原発を再稼働し、老朽化した原発を再延長し、ふたたび、取り返しのできない原発事故が起こるまでは、原子力発電をやめようとはしないだろう。政府と原発推進派は、お金をばらまきながら、「福島の事故を教訓に、より安全な原発を」とデマを広めている。次から次へと、安全だというレッテルを貼り、原発を再稼働し、老朽化した原発の再延長をやめようとはしない。
一日も早く、再び、原発事故の起こる前に、すべての原発を廃炉にして、自然エネルギーを利用する社会へ変えていこう。
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