2018年04月12日21時02分掲載
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農と食
ネオニコ系農薬出荷量が減少傾向
国立環境研究所はこのほど、2016年度のネオニコ 系などの浸透性農薬などの出荷量推計を公表。フィプロニルとエチプロールを含む累計は472トンで、前年より14トン減少し、対前年比2.9%減となっている。全体として2015年、16年と連続して減少傾向にあるもののまだ高止まりしている。果樹栽培の多い県ほど、面積当りのネオニコ系農薬使用量が多い。(有機農業ニュースクリップ)
成分別の増減は、クロチアニジン(住友化学・ダントツ)が3.5%、アセタミプリド(日本曹達・モスピラン)が10.8%、チアクロプリド(バイエル)がそれぞれ7.4%増加し、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサムは減少した。フィプロニル系は、フィプロニルが18.3%、エチプロールは5.3%減少している。2015年12月に登録されたフルピラジフロンは出荷量がゼロとなっている。スルホキサフロルは2017年12月に登録でありデータはない。
表1.2016年度 浸透性農薬出荷量
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出荷量
成分名 [トンまたはKL]構成比[%] 前年比増減
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ジノテフラン 156.8 33.2% 93.7%
クロチアニジン 78.2 16.6% 103.5%
イミダクロプリド 61.2 13.0% 92.8%
アセタミプリド 57.1 12.1% 110.8%
チアメトキサム 47.9 10.1% 97.3%
チアクロプリド 13.7 2.9% 107.4%
ニテンピラム 5.7 1.2% 88.5%
フィプロニル 17.6 3.7% 81.7%
エチプロール 34.1 7.2% 94.7%
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累 計 472.4 100.0% 97.1%
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・国立環境研究所
農薬データベース
http://www.nies.go.jp/kis-plus/index_3.html
● 果樹の多い県ほど面積当りの使用量が増える
国立環境研究所の農薬データベースには都道府県別の農薬出荷量もまとめられている。このデータと、農水省のまとめた都道府県別の耕地面積データを重ねてみると興味深い結果となる。都道府県別の耕地面積1千ヘクタール当りの出荷量を算出した結果、果樹の多い和歌山県、愛媛県、山梨県での面積当りの使用量が多かった。東京都の出荷量が多いのは、営業拠点が多いことによるものではないかと思われる。
・果樹の耕地面積比率が大きくなるほど面積当りの
使用量が多くなる。和歌山県、愛媛県、山梨県が
トップ3。果樹の耕地面積比率の低い富山県は、
田の比率が他県に比べ大きく、田での面積当りの
使用量が多い。
・田の耕地面積比率が大きくなるほど使用量が多く
なる傾向がある。富山県の面積当りの使用量が突
出している。過剰使用がなければ、耕地面積比率
に関わりなく一定になるはずだが、そうなってい
ないことは田の面積が多い県ほど過剰使用を示唆
しているようにも見える。
・果樹の耕地面積比率の大きな県(和歌山県、愛
媛県、山梨県)と富山県を除いた、果樹を除く
畑の耕地面積比率と使用量にはほとんど相関関
係はなく、1千ヘクタール当り100kg前後
の使用量となっている。
農水省の面積調査のまとめの中には作付延べ面積のデータもあり、本来はこの作付延べ面積を使うべきとだろうが、まだ2016年のデータが公表されていない。従って、耕地面積データを使った。作付延べ面積で見た場合には、畑での面積当りの使用量が少なくなると思われる。
2013年8月、愛媛大学の河野教授らは、調査した13種類の市販蜂蜜のからネオニコ系農薬を検出したと発表している。果樹での使用量が多いということは、ミカン蜜などの果樹由来の蜂蜜がネオニコ系農薬で汚染される可能性が高くなることになり、当然の結果かもしれない。米国ではスルホキサフロルの農薬登録にあたり、ミツバチ保護の観点からりんごやなしは開花期の使用を禁止し、かんきつ類は全面的に使用を禁止している。少なくとも、こうした果樹への使用規制の強化が必要だろう。
・東京新聞, 2013-8-18
ネオニコチノイド系農薬 国産蜂蜜から検出
以下の関連するグラフは、添付ファイル(ネオニコチノイド系農薬出荷量推移および単位面積使用量と耕地面積比率の関係.pdf)にまとめた
・浸透性農薬出荷量(1993-2016)
・ネオニコ系出荷量年度別・面積当たり推移2016
・果樹の耕地比率と1千ha当りの使用量(2016年)
・田の耕地比率と1千ha当りの使用量(2016年)
・果樹を除く畑の耕地比率と1千ha当りの使用量(2016年)
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有機農業ニュースクリップ
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