2018年04月24日11時50分掲載
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農と食
工場野菜のほうが安全で環境に優しいと多くの人が思っているらしい 大野和興
日本経済新聞の電子版に「あなたも食べてる工場野菜」というコラムが載っていて、興味に駆られて読んでみました。工場野菜とは、野菜工場で育てられた野菜のことです。野菜工場とは、お日様が照り、雨が降り、風が吹く外界と処断した空間で、太陽光の代わりに発光ダイオード(LED)照明などの人工光で野菜を育てる工場のことを言います。ここでは空気の流れも遮断されます。
この記事は日本政策金融公庫のインターネット調査に依拠しているのですが、驚かされることがいくつもあります。対象は20〜70歳代の男女2000人。まず工場野菜を買っている人が次第に増えていることがわかります。
びっくりしたのは、工場野菜の安全性への高い評価です。安全面で「かなり優れている」「やや優れている」と答えた人の比率は植物工場が35.2%と、通常の栽培方法の9.2%を大きく上回りました。環境への配慮という設問でも、植物工場のほうが優れていると答えた人は34.5%に達し、通常の栽培方法のほうが優れているという回答の3倍を超えました。
調査結果からうかがえるのは、世の中の多くの人が、土や水やお日様より、人工制御された空間で、人工栄養と人工の光で作られたものに安全性や環境への配慮を見出しているということです。農業という営みは、自然の循環過程に直接組み込まれているところに本質があります。だから、農業技術は自然の則を超えてはいけない。農薬や遺伝子組み換えがダメな根本的理由はそこにあります。ところが食べる側がそこのところを易々と乗り越えてしまった。いまぼくは頭を抱えています。
(日本消費者連盟ホームページから)
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