2018年05月15日10時28分掲載
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人権/反差別/司法
【声明】法務省入国管理局収容施設における被収容者の処遇にたいする声明を発表しました
特定非営利活動法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)は、4月27日付けで「法務省入国管理局収容施設における被収容者の処遇にたいする声明」を発表しました。
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法務省入国管理局収容施設における被収容者の処遇にたいする声明
2018年4月13日、東日本入国管理センターにおけるシャワー室で、インド人被収容者が首にビニールタオルを巻きつけて意識を失っている状態でいるのが発見され、救急搬送されましたが、約1時間後に死亡が確認されました。仮放免が認められなかったことにより、収容が解かれる見通しのないまま継続することになったことに絶望感を抱いたのではないかと推察されます。またこの自死事件の後、16日から同センターの収容者によりハンガーストライキが行われました。
法務省入国管理局収容施設では、毎年数多くの自傷行為が発生しています(2014年59件、2015年51件、2016年30件)。また2013年から現在まで他に5件の死亡事故が起きています。
私たちは、これらの背景には、法務省入国管理局(以下、入管)による仮放免の厳格化と長期収容といった運用の変化があると考えています。
もともと入管は、入管収容施設への収容は、退去強制事由に該当すると考えられる者をすべて収容できるという全件収容主義をとっています。また退去強制令書にもとづく場合は送還可能なときまで収容することができるとされ、様々な事情で帰国できない者にたいする実質的な無期限収容が認められています。
このような実質的な無期限収容にくわえて、収容の決定に裁判所などが関与しないことなど、日本の収容施設は、自由・権利の制限が著しく高いとして国連機関からたびたび懸念が示されてきました。例えば、国連自由権規約委員会は「収容が、最短の適切な期間であり、行政収容の既存の代替手段が十分に検討された場合にのみ行われることを確保」するよう日本政府に求めています(2014年8月20日、国連自由権規約委員会日本の第6回定期報告に関する最終見解)。
こうした制度の下、様々な事情で帰国することのできない被収容者が収容を解かれる手段の一つとして、入管の裁量によって運用されている仮放免がありますが、2015年頃から入管は仮放免の許可を厳格化してきました。法務省の統計によると、2017年の全国の収容施設における仮放免許可率は、前年に比べ概ね半減しており、結果として、長期収容者の数が急増しています。2017年10月23日現在、入管収容施設に1年6ヶ月以上収容されている者は65名と2年前(2015年11月1日時点では同31名)より倍増しています。また収容期間が5年以上に上る者も出ています。有効な在留資格がないという理由だけで、一人の人間を閉鎖的な収容所に5年間も収容し続けることが認められてよいのでしょうか。
私たちは、入管が長期収容を直ちに止めること、被収容者の状況にあわせて仮放免や在留特別許可の運用を拡大することを求めます。また国際人権基準にもとづき、全件収容主義や実質的な無期限収容を止めるよう強く要求します。
* 被収容者に関するデータはすべて移住連省庁交渉における入管提出データにもとづく。
以上
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特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
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