2018年05月16日02時15分掲載
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「探偵はBARにいる 3」
すでにこの映画が封切られて半年くらいたつので見た人には今さらだと思うけれど、「探偵はBARにいる 3」は飽きさせない映画だ。冒頭、「海鳥の舞う厳冬の漁港」とシナリオにもあるように寒々しい北国の冬から始まり、それが北海道であろうことは市場の食堂で登場人物の若い女と中高年の男がウニいくら丼を食べているところでわかる。
このあと、惨劇が起き、やがてシーンは主人公の探偵が活躍しているとあるナイトクラブへと移る。このクラブで探偵が謎解きしている事件とは停電した時に誰が女性の胸をもんだか、と言う謎だ。厳冬の殺人事件から、痴漢事件の謎解きをしている探偵へと転換して、この映画が喜劇をベースにしているらしいことがわかる。シリアスな現実と本音で生きる人間の裏側を見せる滑稽さの落差が映画の面白さを作り出しているようだ。チェーホフ劇のような裏表の構造が登場人物それぞれに設定されており、そこが通り一遍の筋書きをたどるだけのドラマとは一線を画しているように思えた。
「探偵はBARにいる」は北海道札幌のススキノを舞台にした探偵小説が原作であり、地方都市が舞台になっていることが映画シリーズでも大きな魅力になっている。そしてウニいくら丼が登場するように北海道の魅力が盛り込まれている。主人公の探偵を演じる大泉洋は喜劇的な立ち回りがうまい。と同時にハードボイルド探偵でもあり、しばしば殴られる。報酬も危険の割に合わないくらい低いこともある。このあたりはアメリカのハードボイルド映画の伝統に即している。携帯電話は使わない、とか、電話はBARで受ける、というこだわりもいい。主人公の相棒の北大生を演じる松田龍平と組むとうまく凸凹のコンビになる。
■『探偵はBARにいる3』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=XNhZRZMukrg
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