2018年05月26日01時15分掲載
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国際
トランプ政権による米朝首脳会談中止をどう見るか
トランプ大統領が予定されていた米朝首脳会談を中止したと報じられた。東アジアの平和を期待した人々にとっては嬉しくないニュースとなった。トランプ大統領がなぜ今になって中止を決めたのか、真相はわからない。
以下は単なる見聞した情報である。ニューヨークタイムズのコラムニスト、二コラ・クリストフが米朝首脳会談決定直後に冷めたコラムを書いたことがあったのを思い出すのである。二コラ・クリストフは米朝間の首脳会談と平和条約の締結を期待する一人だが、あまりにも急激な事態の進展に警鐘を鳴らしていた。それは何かと言えば、トランプ大統領が平和条約を北朝鮮と電撃的に結んだ場合に、在日米軍の位置づけはどうなるのか、という事があった。朝鮮半島の非核化ということになれば沖縄に核兵器を持つ米潜水艦が寄港することはできなくなるのかもしれない。そのあたりはグレイだろうが。そのことは米軍がこれまで進めてきた中国封じ込め政策にも影響を与えることになる。だから、クリストフは政治のド素人であるトランプ大統領が首脳会談ですべてを決めることに危惧と難色を示していたのである。もっとプロの外交官が事務方の交渉を進めておく必要がある、と。クリストフが中国通であることも記憶にとどめておく必要がある。
トランプ政権の政策はトランプ大統領個人が決めることもあれば、トランプ大統領個人の考えとは裏腹に軍や共和党の決定に影響される場合もあるだろう。今回、そのあたりがどうなっているかは不明だが、クリストフのコラムと合致する印象もある。つまり、軍や共和党に献金してきた軍産複合体が急激な軍縮に抵抗を示した可能性もある。また、その背後にもしかすると仮想敵国としての北朝鮮こそ自民党や共和党が勢力を維持できる貴重な政治資産である、という安倍政権の意向もあったのかもしれない。朝鮮半島で平和が実現すると、防衛省が高額の米兵器を買う動機も弱まるからだ。
だが、今年年初にニューヨークタイムズが大々的に記事にしていたようにもし昨年秋の北朝鮮の核実験で水爆が完成していたとすれば米国は平和交渉に否が応でも応じざるをえないだろう。
村上良太
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