2018年06月11日05時53分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  断食月に外交活動する西サハラ難民大統領  平田伊都子

 日々刻々、三日月が細くなってきました。 月が夜空から消えると、西サハラ難民キャンプでも一か月続いた断食月ラマダンが終ります。 IAC国際天文センターによると、大部分のイスラム教国は、6月15日(金)に断食月ラマダンを終えるそうです。 陽があるうちは飲食喫煙セックスを絶つという、イスラム教の厳しい修行の月に、西サハラ難民大統領はアフリカ数か国を訪問して、西サハラ独立に向けての賛同を更新しました。 但し、寛容なイスラム教は、旅行中の断食破りを認めています。 後日、破った日数分を自主断食すればいいそうです。 
 
(1)西サハラ難民大統領のボツワナ訪問: 
 2018年5月31日から6月2日までの3日間、西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリはボツワナ共和国を訪問した。ワリド・サレク外務大臣、マライニン・ラハル外務省特別補佐官、バー・ディ・シェイク・アンゴラ兼ナムビア大使、などが同行した。 
 6月1日、西サハラ難民大統領一行はボツワナ国会に招待された。ボツワナ国会は、「ボツワナと西サハラは、AU創設以来の深い友好関係をこれからも進展させていく。西サハラ人の民族自決権と独立権を支持するボツワナの立場は、揺るぎない」と、表明した。 
西サハラ難民大統領一行の訪問に合わせて、ナムビア大統領がボツワナ国会に電話をかけてきた。ナムビア大統領ハーゲ・ガインゴブは「ナムビアと西サハラ両国は、改めて両国の深い絆とさらなる連帯を確認した」と、語り、両首脳は西サハラ問題の早期解決を、アフリカと国際世界に促して行くと表明した。 
 ボツワナ共和国は南部アフリカに位置し、南アフリカとナムビアとジンバブエとザンビアに囲まれた内陸国だ。内紛の絶えない周辺国をよそに、独立以来ボツワナ共和国には民主主義が機能している。内乱は一度も起こっていない。西サハラ難民大統領の南部アフリカ諸国巡りは、平穏なボツワナから始まった。 
 
(2)西サハラ難民大統領の南アフリカ訪問: 
 6月3日、西サハラ難民大統領一行は南アフリカのプレトリアに到着した。 
 6月5日、西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリと南アフリカ大統領シリル・ラマポーザは、「南アフリカ共和国とSADRサハラ・アラブ民主共和国は、西サハラの独立を目指し協力と連帯を続けていく。」との、共同声明を発表した。さらに両大統領は、「アフリカ最後の植民地。西サハラ問題を早期に解決するためには、より強く、モロッコに和平交渉を促さなければならない。国際社会に対してもさらなる支援をお願いしなければならない」との共同声明を発表した。駐南アフリカ西サハラ難民政府大使のバシール・エスガイエも同席した。 
 南アフリカでは白人政府が1960年代から1980年代にかけて残酷なアパルトヘイト人種隔離政策で黒人を迫害した。黒人が中心のANCアフリカ民族会議は人種平等を求め、国際社会を巻き込んでゲリラ戦を戦った。1994年、最初の全人種参加による総選挙でANCが勝利し、監獄から27年ぶりに解放されたネルソン・マンデラ議長が大統領になった。真の独立を勝ち取った南アフリカは金やダイヤモンドに支えられて、発展を続けている、、 
 
 (3)西サハラ難民大統領のジンバブエ訪問: 
 6月6日から6月8日まで、西サハラ難民大統領一行はジンバブエを訪問した。 
 6月7日、西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリとジンバブエ共和国大統領エマーソン・ムナンガグワは、「1991年に両当事者がサインし、OAUアフリカ統一機構(AUアフリカ連合の前身)が推薦した<国連西サハラ住民投票>の早期施行を、強く求める。我々は、UN 事務総長個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領と、AU西サハラ特使ジョアキン・シサノ元モザンビーク大統領の努力に感謝し、二人への協力を惜しまない。モロッコはAUの加盟国なのだから、当然、<アフリカ大陸からの植民地一掃>というAU憲章に従い、他国の領土を尊重し、国境線を遵守しなければならない」と、共同声明を発表した。 
 1965年にイギリスから独立して以来、2017年11月のクーデターによる失脚まで、世界で最長老大大統領(93才)だったロバート・ムガベがジンバブエを長期支配していた。 
 ムガベ氏最後の大舞台は2017年国連総会で、「トランペットを吹く(大ぼら吹きの意味)トランプは、結束、平和、協力、連帯感、対話といったハーモニーの音楽を吹くべきだ。そのハーモニーは、われわれにとって極めて神聖な文書である国連憲章に謡われている」と、トランプをこき下ろし、大喝采を浴びた。 
 一方、♠米大統領は世間の悪口などなんのその、ひたすら<わが芸道>を歩んでおられます。 
 
 ♠米大統領の6月8日付けメールでは、「今日はシンガポールに出発する」と書かれてありました。 エッ! カナダのG7サミット(主要7カ国首脳会議) には行かないの? 
結局、行くには行ったんだけど、シンガポールが目的地でトランジットしただけでした。 ♠米大統領だけではなく、世界のメデイアも世界の野次馬も誰もかれもが米朝会談に夢中です。 
朝鮮戦争の終結?南北朝鮮の統合?などなど、、輝く未来が盛り込まれているのです。 
 さらに、金さんご一行の旅費を誰がだす?とか、金さんご一行は借り物の飛行機で移動?だとか、、何かと面白い話題も満ち溢れた超ビッグショウです。 ♠米大統領は一回公演では終わらないと言ってます。 続公演、続々公演、続々々公演も期待できそうですね、、 
楽しみです! 
 
追伸:西サハラの人々に会いたい方は、ユーチューブの「ラストコロニー西サハラ」で検索するか、下記のアドレスにアクセスしてください。 
Youtube URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo (日本語版) 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年6月11日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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