2018年06月26日20時32分掲載  無料記事
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農と食

消費者は斑点米をそんなに気にしていない グリーンピース、生協アンケート結果から

 神経系をアタックするネオニコチノイド系農薬が水田で多用される大きな理由は米粒に黒い斑点を作るカメムシ対策のためで、農水省は消費者からのクレームが多いため、やむを得ないと説明してきた。しかし、環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月19日、斑点米は主なクレームとはなっていないという生協へのアンケート調査結果を発表した。農水省の主張のいっかくが崩れたことになる。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 アンケート結果についてグリーンピースは、「生産者が、ネオニコチノイド系農薬等の使用をやめにくい主な理由は、「出荷時の等級と価格が下がること」が最多で、消費者のクレームよりも、斑点米の混入上限規程の厳しいことが農家の殺虫剤散布を促進している実相が浮き彫りになった」としている。 
 
 グリーンピースによれば、回答を得た24生協(6連合会含む)のうち17生協(5連合会含む)がネオニコチノイドによる生態系への影響を懸念するも、ネオニコ不使用/削減の目標を設定している生協は6生協だったという。生協といえば「安全」重視のイメージが強いが、ネオニコ・フリーへ向けて動いている生協は、まだ少ないようだ。 
 
 玄米の検査規定には着色粒規定があり、一等米で0.1%、二等米で0.3%などの上限が決められている。斑点米は、色彩選別機を使うことで取り除くことができ、精米されてしまえばこの規定は適用されない。農水省はこの間、斑点米がクレームの原因となっていて着色粒規定は廃止できないとしてきたが、このアンケート結果からは、そうした農水省の見解が妥当性を欠いていることが、また一つはっきりしたといえる。 
 
 ・グリーンピース・ジャパン, 2018-6-19 
  ネオニコフリーを可能にする生協の取り組み―斑点米に関する生協アンケート調査でわかったこと 
  http://www.greenpeace.org/japan/ja/library/publication/20180604/ 
 
  ブリーフィングペーパー『ネオニコフリーを可能にする生協の取り組み ―斑点米に関する生協アンケート調査でわかったこと』 
  http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20180619_COOPresearch.pdf 
 
 
 ● 根拠がない着色粒規定 「数式やデータは存在しない」と農水省 
 
 この着色粒規定の根拠について、かねてより反農薬東京グループなどの市民団体がその根拠を示すように農水省に求め、農水省は「該当する文書は見当たらない」と回答していた。グリーンピース・ジャパンが先ごろ、情報公開請求を使い、農水省に正式にその根拠となる数式やデータの開示を求めたところ、「当該最高限度を算出した数式やデータは存在しないことから不開示としました」という不開示の通知があったという。 
 
 根拠の不明確な基準で格付けする着色粒規定がオニコチノイド系農薬の過剰使用をもたらしているといえる。根拠がないということは、コメ農家に不当、不要な要求をしているということになる。こうした着色粒規定は廃止すべきではないか。 
 
 ・グリーンピース・ジャパン, 2018-5-25 
  えっお米の見た目、厳しい基準に根拠ないの?情報公開で判明! 
  http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/61541/ 
 
 ・農水省, 2018-4-13 
  行政文書不開示決定通知書 
  http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20180525_MAFF.pdf 
 
 ・農水省 
  玄米の検査規定 
  http://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/kome/k_kikaku/ 
 
 コメ産地からも着色粒規定不要の声が上がっている。秋田県大潟村議会は今年3月、「着色粒規定の廃止」などを盛り込んだ農産物検査法、植物防疫法、JAS法の抜本的見直しを求める意見書を国に提出するよう求める請願を採択している。同じ秋田県の五城目町議会でも今年6月、大潟村と同様の請願が採択され、衆参両院議長や総理大臣などにあてて意見書を提出している。 
 
【関連記事】 
 ・大潟村議会 着色粒規定の廃止を求める意見書 
  http://organic-newsclip.info/log/2018/18030902-1.html 


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