2018年06月28日23時34分掲載  無料記事
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市民活動

新宿区がデモの公園使用で規制を強める 市民団体は反発

 これまで新宿繁華街で行われるデモの出発点として利用されていた区立公園が使用制限され、使いづらくなった。市民団体は区による「表現の自由」に対する規制であると反発している。日本消費者連盟をはじめとする多くの市民団体は、次々と吉住健一新宿区長に対し、この措置を撤回するよう申し入れている。(大野和興) 
 
 これまでデモで使われていた区立公園は四か所だが、このうち参加者が8月1日から使えなくなる。新宿区が使用条件に新たな制限を加えたためだ。この措置は区の部長決済で決まったもので、区議会にも諮られていない。事後報告されただけだ。 
 
 区は今回の決定の理由としてヘイトスピーチ対策と近隣への騒音をあげている。しかし、新宿という若者が多く集う繁華街をもつ新宿では、さまざまの政治課題、平和、反原発、少数者の権利などを掲げるさまざまの市民運動グループが、自分たちの考えをアピーし、表現する場ともなっている。今回の区の規制は、憲法で保障された表現の自由を制限するものであると、そうした市民グループは反発しておる。こうした規制は、一度動き出したらさらに広がるものであることから、区に撤回を求める動きが大きくなりそうだ。そのおひとつ、6月28日に新宿区長に出された日本消費者連盟の申し入れを紹介する。 
 
 
 
新宿区長 吉住健一様 
 
特定非営利活動法人日本消費者連盟 
共同代表 天笠啓祐 
共同代表 大野和興 
 
申し入れ 
新宿区における新たなデモ規制の撤回を求めます 
 
 貴職が区長を務めておられる新宿区において、区立公園のデモ使用を大幅に制限する措置が決定され、2018年8月1日から実施されるとのことです。私ども日本消費者連盟は、市民の名において、この決定を撤回するよう求めます。 
これまでデモの出発地点として新宿区内では4つの区立公園が使用されておりました。今回、使用条件を厳しくすることで、それを一つに絞るということのようですが、この措置は市民が自由に自らが思うこと、信じることを発信できる言論・表現の自由に対する侵害であり、明確に憲法に反する決定です。しかも、新聞報道によると、この決定は一部長の決済で決められ、区議会にも報告だけで済まされたようです。 
新宿区は公園使用制限の理由として、差別と排外主義を声高に唱えるヘイトスピーチ対策と周辺住民の騒音被害の二点をあげています。「角を矯めて牛を殺す」ということわざを思い出します。枝葉にかかずらわって、根本をそこなうことのたとえです。この場合の「根本」は民主主義の基礎であり、市民の普遍的権利である「思想信条の自由」と「表現の自由」です。ヘイトスピーチ対策は重大な問題ですが、これは法の理念にのっとり、自治体として厳格に対処することで対処すべきで、それを市民の権利を制限することで行うのは問題のすり替えであり、ヘイトスピーチをする側の思う壺に新宿区が自らはまっていくことにほかなりません。また、騒音対策も、周辺住民の理解を求めながら他に対処の方法はいくらでもあります。 
このことわざは、人間の愚かしさを表現したものですが、今回の貴職の決定はまさに“愚かさ”以外の何物でもありません。市民の権利はひとつが崩されると、次々と拡大します。今回は公園一つが残されましたが、次はそれも制限されるでしょう。それも一職員の決済で出来ることになります。こうして新宿区から、民主主義を支える柱である市民の表現行動が締め出されることになるでしょう。区は、民主主義を支えるもう一つの柱である基礎自治体です。貴職もまた、区民の投票で選ばれた民主主義の守り手であるはずです。まだ遅くはありません。もう一度熟考され、「角を矯めて牛を殺す」愚かさに陥らないで、今回の決定を撤回されるよう申し入れます。 
以上 


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