2018年07月04日23時19分掲載
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核・原子力
緊急声明:原子力規制委員会による東海第二原発の審査書案了承に抗議 スケジュールありきのアリバイ審査
2018年7月4日
国際環境NGO FoE Japan
原子力規制を監視する市民の会
本日(7月4日)、原子力規制委員会が日本原電・東海第二原発の設置変更許可にかかる審査書案を了承しました。今後、パブリック・コメントにかけられます。
今回の審査書案の了承は、多くの問題や危険性、実験で発覚したブローアウトパネルの閉鎖装置のトラブルにも目をつぶり、運転開始40年までに設置変更許可・工事計画・運転延長の認可を間に合わせるため日本原電を急がせた「スケジュールありき」のものです。私たちはこれに強く抗議します。
東海第二原発は、首都圏唯一の原発で、福島第一原発と同様の沸騰水型の原発。30km圏内には約96万人が居住します。まもなく40年の老朽原発でもあり、東日本大震災のときに津波をかぶり、つなわたり運転を3日半続けてようやく冷温停止にいたった被災原発です。周辺の少なくとも18市町村が運転延長もしくは再稼働に反対する意見書を可決しています。
審査では、日本原電の経理的基礎、防潮堤、ケーブルの防火対策、重大事故時における格納容器破損防止などが問題となりました。
とりわけ、経理的基礎については、大きな議論となりました。原発しか持たず、所有する4つの原発のうち2つは廃炉が決まり、現在発電を行っていない日本原電が破たんを免れているのは、東電、関電などがあわせて年間1,000億円の「電気料金」を支払っているからにすぎません。日本原電は1,760億円もの安全対策費を銀行から借りることができず、東京電力と東北電力が日本原電の求めに応じ経済的支援の「意向」を表明する文書を提出。しかし、これらの文書は実際には、資金支援を約束するものではありません。
東京電力は、福島第一原発事故の賠償・廃炉などの費用が払いきれず、巨額の公的資金や各地の電力消費者から徴収された電気料金が注入され、形だけ破綻を免れているのが実態です。
さらには、被害者への賠償を値切り、ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)の和解案を拒否し続けているのです。
そんな中、他社の原発の再稼働への財政支援をすることなど許されません。それなのに、原子力規制委員会は、東電・東北電の「支援」を前提に、審査書案を了承しました。
また、原子炉建屋の圧力を逃がすブローアウトパネル閉止装置の機能確認試験では、ブローアウトパネルが5cm空いてしまったのにもかかわらず、その改善案の検討は工事計画認可に先送りされました。これは、「通すことありき」の原子力規制委員会の姿勢を如実に示すものではないでしょうか。
私たちはこれに断固として反対し、審査書案の撤回と、審査のやり直しを求めます。
以 上
(FoE Japanウェブサイト「新着情報」より転載)
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