2018年07月16日01時06分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201807160106221

国際

独、軍備増強で米と合意 その実行に疑問符

 6月21日付のThe Washington Post紙は、米トランプ政権が求めるドイツの軍事費増強にドイツのメルケル首相が同意をしているものの、実際にはその実行が危ぶまれていると報じた。 
 米国とドイツが加盟するNATOでは、国家GDPの2%を軍事費に充てることを目標に掲げているが、冷戦の終結で軍事支出を減らしてきたドイツの軍事費は1.2%程度に留まっており、現実的な目標として2024年までに1.5%まで押し上げることを目指しているという。 
 だが、同紙によると、ドイツ国内では、トランプ政権の圧力に屈することへの反発から抵抗が強く、また、軍事に関する過去の暗い歴史と債務を増やさないという理念から増強には歯止めがかかっている。 
 一方、米国の軍事費は総生産のうち3.6%を占め、これはNATOの総軍事費の75%近くにあたると同紙は報じている。 
 なおヨーロッパでは、ロシアのクリミア併合などにより突如、戦争が現実的なものになっていると同紙は指摘。ドイツが軍事支出をためらうことで米国との関係を悪化させるだけでなく、米国が大陸の防衛に消極的になる中、周辺国との協調にもひびが入っていると同紙は述べている。 
 だが、問題は予算だけでなく、軍備そのものを欠いていることだと同紙は言う。冷戦期は50万人ほどいた兵員が現在では18万人で、装備も劣悪で訓練では機関銃の代わりに箒を使用することもあるほどであると同紙は伝えている。 
〔ND米紙ウィークリーニュース第147号(July 10, 2018)〕 
 
     ★     ★     ★ 
 
シンクタンク「新外交イニシアティブ」(New Diplomacy Initiative/ND)が発行する『ND米紙ウィークリーニュース』は、米国各紙の中から政治・外交・日本関係の記事を抽出し、翻訳・要約してお送りするものです。 
 
新外交イニシアティブ(New Diplomacy Initiative/ND)事務局 
(住所)〒160-0022 東京都新宿区新宿1−15−9 さわだビル5F 
(Web)http://www.nd-initiative.org/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。