2018年07月30日07時38分掲載
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国際
フィリピンから二人の活動家が来日 ミンダナオ島のバナナ農民たちの置かれた状況を語る
鶴見良行が「バナナと日本人」(岩波新書)で、日本に届くバナナの大半を作っているフィリピンのミンダナオ島のバナナ農園労働者や契約栽培農家の窮乏と農薬汚染について書いたのは1982年のことだった。あれから40年近くの歳月が流れ、その間に民衆の力革命や農地改革が行われた。ところが、今も農民たちが置かれている状況は厳しいものだった。
そのことを話すために来日したのが環境保護団体IDISの代表をつとめるチンキィ・ペリーニョさんと、農民支援活動をしているIDEALSの弁護士のアーヴィン・サガリノさんである。水源の保全活動を行ってきたペリーニョさんによると、今日もバナナ農園で農薬の空中散布を続けている企業があるという。空中散布の農薬は農園だけでなく、農園のわきに点在する民家にも降り注ぎ、大きな健康被害をもたらしているという。日本人が食べているきれいなバナナの裏側にフィリピンの農民たちの健康が侵されている実情があるというのだ。さらにそれが水質汚染も引き起こしている。空中散布は地上から散布するよりもはるかに環境に大きな打撃を与えているという。
一方、1986年の民衆の力革命のあとに行われた農地改革で農園の労働者たちもこつこつ土地代を払えば自分の農地を持てるようになったはずだった。ところが農民の相談を受けてきたサガリノ弁護士によると、そうして生まれたバナナの契約栽培農家が日本やアメリカなどの大手アグリビジネスと極めて不平等な契約を結ばされていることが多いという。その契約書は農民の多くが読むことができない英文で書かれているという問題もあるが、さらにはアグリビジネスの側が一方的に押し付ける契約になっていて、農民側が希望を入れて修正する余地はないのだそうだ。さらに、一方的に買い手であるアグリビジネス側が契約更新できるようになっているし、一方的に解約できるようにもなっているという。サガリノさんが聞き取りをした地域の1つ、ミンダナオ島のコンポステラバレーでは農民の活動家が殺されたり、不当に逮捕されたりということも起きている。
こうした状況を何とかしようと始まっているのがエシカルバナナ・キャンペーンだ。消費者の側で、バナナがどのように作られているかを理解し、生産者であるミンダナオ島の農民たちを救うには何が必要かを考えよう、という趣旨だそうだ。
https://www.e-banana.info/
村上良太
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