2018年08月14日00時18分掲載
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ビルマ民主化
いまだ民主化ならぬビルマ(ミャンマー)の現実
今を去ること30年前。1988年8月8日、ビルマ(ミャンマー)の民主化運動は血の弾圧で軍事政権に抑え込まれた。
(筆者注:ビルマの正式な英語表記は「ミャンマー連邦共和国」だが、これは1989年、軍部により一方的に変更されたもので、民主化活動家たちは元々の国名たる「ビルマ」を使用することが多い)
学生や僧侶など数千人が犠牲になったと言われるこの大弾圧の日は「8888」と呼ばれ、ビルマ人にとり、まさに暗黒の記念日である。
日本国内でも毎年8月8日にビルマ民主化のためのデモが行われている。本年も台風が接近する強い雨と風の中、それでも150人程のビルマ人が集まり、出発地点の五反田南公園は熱気に包まれた。
デモ隊は、民主化スローガンのプラカードやアウンサンスーチーさんの写真等を掲げ
「真の民主主義を獲得するぞ!」
「2008年憲法を改正するぞ!」
「真の国内和平を実現するぞ!」
「法の支配を確立するぞ!」
「国民の権利を取り戻すぞ!」
とシュプレヒコールをあげながら、品川のミャンマー大使館まで練り歩いた。
2015年総選挙でアウンサンスーチーさん率いるNLD(国民民主連盟)が第一党となり、アウンサンスーチーさんが国家顧問に就任したとはいえ、ビルマは未だ軍部の力が強く真の民主化には程遠い状況である。
今年の「8888」民主化デモの招請状に記されている文章を以下に記す。
「ミャンマーの2008年憲法では、国軍は武力に関するすべての問題を単独で処理し解決する権利を有すること〔20条(b)〕、連邦議会の人民院議員440名のうち最大110名を国軍最高司令官が指名する軍人とすること(141条)、国防大臣、内務大臣、国境大臣に関しては国軍最高司令官が指名する軍人が任命されること(232条)などが規定されているため、ミャンマー国軍はアウンサンスーチー氏が国家顧問を務めるNLD政権のコントロール下にありません」
つまり、ビルマ国内ではいまだ軍部による弾圧が止まらず、国民の権利は大幅に規制され、少数民族との和平も中々実現しないという現実があるのだ。
ぜひ今後のビルマの政情に注視していただきたい。(APFS労働組合 山口智之)
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