2018年08月19日15時40分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  西サハラ住民15人、モロッコ空港警察が不法拘束  平田伊都子

 2018年の西サハラ夏期大学が例年のように、アルジェリアの首都アルジェから西へ50キロメートル東にあるブメルデスで、8月4日から15日まで開校されました。 モロッコ占領地の住民やSADR(サハラ。アラブ民主共和国)難民政府の指導者たちを含め、約500人が参加しました。 昨年に取材した第8回と違うのは、モロッコ占領地担当大臣エルワリ・アキクが西サハラ難民政府首相として、西サハラ難民政府ナンバー2のバシール・ムスタファ―がモロッコ占領地担当大臣として、指導していたことです。 <エルワリ(西サハラ独立運動の創設者)の仲間たち>という名の、学生運動組織も駆けつけました。 
 エルワリと同名のエルワリ首相は、エルワリの親戚ではありません。 が、バシール・ムスタファ―・モロッコ占領地担当大臣は、エルワリの実弟です。 
 
(1)第9回西サハラ夏期大学: 
 12日間にわたって、西サハラの若者を対象とした夏期大学が今年も開校した。主催はSADR(サハラ・アラブ民主共和国)だが、スポンサーはアルジェリア。基本的な歴史、政治、経済、世界情勢を学び、来賓たちの講演に耳を傾ける。とりわけモロッコ占領地・西サハラでモロッコの迫害に立ち向かう西サハラ住民の報告は、会場をどよめかせた。 
 8月15日の閉会式を、エルワリ首相は、「モロッコ占領地・西サハラの住民を代表し、危険を顧みず夏期大学に参加してくれた、同志の勇気を称えたい。モロッコ占領地での弛まない人民蜂起の火を、燃やし続けて欲しい。モロッコ当局につけ込まれないようくれぐれも注意深く、帰郷するように、、」と、数十人のモロッコ占領地を含む、在外西サハラ人を気遣う言葉で、終えた。 
 バシール占領地担当大臣はAPS(アルジェリア・プレス・サービス)のインタヴューで、「モロッコ占領地・西サハラでは、あらゆる面であらゆる形態で、人権が犯されている。そもそも、モロッコによる西サハラ占領が諸悪の根源で、モロッコ本土から送り込まれたモロッコ人入植者たちは、モロッコ占領地全土で西サハラ住民を襲っている。モロッコ占領地・西サハラはまさに、モロッコの監獄だ」と、語った。 
 
(2)モロッコ占領地西サハラ・ラユーン空港: 
 エルワリ西サハラ難民首相が心配したとおり、モロッコ占領地・西サハラの西サハラ住民15人は、モロッコ占領当局から帰郷を妨害された。8月17日にモロッコ占領地・西サハラから送られてきたSOS通信を、下記に紹介する。 
「15人の西サハラ平和活動家たちが、モロッコ占領地・西サハラのラユーン空港に降り立った途端、モロッコ占領当局による妨害が始まった。一行は第9回夏期大学を終えて、アルジェ、カサブランカと乗り継ぎ故郷モロッコ占領地・西サハラの自宅に帰ろうとしていた。一行は何の説明もなく他の乗客と別にされ、モロッコ占領当局によって力ずくで数個の密室に隔離された。そこではモロッコ占領軍関係者が、15人夫々をののしり、暴力で自白を迫った。ある者は荷物を没収された」 
 その後、15人の西サハラ住民がどうなったのか??現地からの報告が待たれる。 
 昨年、夏期大学でインタヴューしたモロッコ占領地・西サハラのアイシャは、「故郷ラユーン空港を飛び立って、モロッコのカサブランカ空港でアルジェ行きに乗り換えようとしたら、モロッコ警察から一週間も足止めを喰らった。私たち女性5人は、密室に閉じ込められ、ガンガン冷房をきつくサレ尋問された」と、想像もできないモロッコ警察の虐めを、語ってくれた。 
 
(3)アルジェリア食料援助コンボイが、首都アルジェを出発: 
 8月9日、10台を超えるアルジェリアのトラックが、援助食料を満載してアルジェを出発した。目的地は2,000キロメートル以上離れたアルジェリアの西北端にある西サハラ難民キャンプだ。砂糖が125トン、米が63トンなどなど、、アルジェリア赤新月社と西サハ赤新月社が連携して、運搬や分配を管理する。アルジェリア赤新月社サイダ・ベンハビレス総裁は、「アルジェリア赤新月社は、食料援助ビッグ・コンボイを編成することで、国際社会が放置したままにしている不幸な西サハラ問題に目を向けさせようとしている。とりわけ、西サハラ難民たちの命は国際支援の先細りで危機に瀕している」と、訴えた。 
 モロッコとその後ろ盾のフランスは、西サハラ紛争が43年間も解決されないのはアルジェリアに責任があると、アルジェリアを非難する。サハラ難民の苦渋をアルジェリアが利用し、援助物資をWFP世界食糧計画と共謀して<猫ババ>しているとの、フェークニュースを撒き散らしている。しかし、モロッコやフランスは、西サハラ難民に援助をしたことなど、あった?ない!ない!! 
 
 アルジェリアの食糧援助コンボイは西サハラ難民キャンプに着いたかな?  山あり砂漠ありで相当難儀な旅だし、途中の町々や村々では<通過の記念式典>があるだろうし、なかなか日数がかりそうです。 それにしても西サハラ難民政府は、夏期大学から食糧援助から外交活動費から、、何から何までアルジェリアのお世話になっています。 
 気位の高い砂漠の民としては、歯ぎしりをする思いでしょうネ? 
 スポンサーに頭があがらないのは、万国共通のようです。 
 
 
Youtubeにアップした「人民投票」(Referendum)のご案内です。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年8月19日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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