2018年09月05日13時57分掲載
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労働問題
＜武建一語り下ろし＞関生型労働運動とは何か（１）数えきれない弾圧、数えきれない闘い 今、関生型運動の存在の意味を問う
連帯労組関西地区生コン支部（以下、関生支部）は幾多の弾圧を乗り越えて関生方式といわれる労働運動・協同組合運動の日本における新しい在り方を築いてきました。その関生支部がいままた権力と資本、それに使われる右翼排外主義暴力集団による攻撃を受け、組織をあげての攻防が展開されています。武さん自身も8月28日、滋賀県警によって逮捕され、ほぼ10人に及ぶ他の逮捕者とともに拘束されています。この弾圧は、関生の存在がいかに大手企業や為政者にとって邪魔になるものであるかを示しているととらえることができます。そこで、今回の攻撃で改めて照らしだされた関生の存在がこの国の社会運動・民衆運動にとっていかなる意味をもっているのか。関生創設から今日まで組合員とともに運動を切り拓いてきた連帯労組関西地区生コン支部委員長、武建一さんの話を通して明らかにします。（構成：大野和興）
１、差別排外主義集団まで動員しての関生攻撃
■なりふり構わぬ攻撃
まず今回の攻撃の直接的背景と経過について、簡潔にお話します。今年2018年５月２日、関生支部執行委員長名で「関生支部への攻撃に対し連帯闘争のアピール」を出しました（資料１）。それを引用する形で、事実関係を簡単に申し上げます。
事の始まりは2017年12月12日から5日、近畿全域で行ったストライキです。2017年12月までは ミキサー車1台当たりの運賃は48000円台でした。この価格では労働組合の賃上げに応えていけるような運賃ではないのです。我々はそれを6万円にしなさいとかねがね要求していました。ストを背景とした交渉の結果、ミキサー車については 1日当面5万5000円、バラセメントについてはトン当たり 510円の引き上げで合意しました。このストライキについては近畿バラセメント輸送協同組合、 生コン輸送協同組合、大阪兵庫生コン経営者会は賛同していました。彼ら自身の運賃を引き上げることですから ストライキに入る前から協力するという態度だったのです。
あとで述べますが、協同組合を形成する圧倒的多数の中小零細企業は、生コン産業を支配する大手セメント資本やゼネコンを対抗するやめには労働組合とも連携しなければならないということがわかっていますから、こうした運賃やセメント代金問題では、労働組合との一定の協力関係を結んでいます。これもまた関生の運動が切り開いてきた成果です。
ところが大阪広域協組が関生支部の行動は威力業務妨害で組織犯罪対策法違反であるというキャンペーンを張り、ヤメ検つまり退職検事を中心に33人の弁護団を組織し その弁護団が指導しているのです。大阪広域協組というのは大阪府と兵庫県の生コン企業によって組織される業者団体「大阪広域生コンクリート協同組合」のことで、加盟社164社を誇る日本最大の生コン協同組合です。
大阪広域協組は弁護団を組織すると同時に、「威力業務妨害・組織犯罪撲滅対策本部」を立ち上げ、それにかかる１０億円予算をつけた。そして、今年に入ってから”労組対策”を名目に、関生攻撃の別動隊として、差別排外主義のレイシスト集団を招き入れました。ナチスのシンボルであるハーケンクロイツの旗を公然と掲げ、振り回し、マイノリティを威嚇しながら、差別デモを主導してきた者たちです。 ここで申し上げておかなければならないのは、大阪広域協組全体というより、利権がらみでそこを牛耳っている一部の幹部の仕業だということです。良心的な経営者もたくさんいます。（資料１）
レイシスト集団は街宣車を使って、連日、連帯ユニオン関西地区生コン支部の事務所などに押し掛け、示威行動をおこなっています。街頭で労組攻撃の宣伝活動をおこなうこともあります。大阪広域協組の役員をも帯同した活動は異様としか言いようがありません。
レイシスト集団のリーダー格である瀬戸弘幸氏は70年代から右翼活動に参加し、ネオナチを標榜する団体の設立にも関わりました。今世紀に入ってからは、在日コリアンの排斥を主張する「在日特権を許さない市民の会」（在特会）と歩調を合わせ、全国各地でおこなわれた差別デモをけん引してきました。現在は、在特会の元会長が党首を務める政治団体「日本第一党」の”顧問”なる肩書も持っています。
労働問題に差別排外主義集団を招き入れ、巨額な報酬を払って口ぎたない街宣や関生事務所の攻撃など好き勝手をさせている広域労協大阪広域協組らのやり口については、著名ジャーナリストや研究者らによる共同声明が出されていますので、それを読んでください（資料１）。これがいかに異常なことであるかがわかります。
こうした動きと歩調を合わせ、権力も関生弾圧にうごいています。奈良、和歌山、大阪などの県府警が相次いで組合事務所や組合員の自宅、車などに家宅捜査をかけていることについて抗議声明の通りです（資料2）。関生を経済的に締め付けようと経済的な圧力も相当なものです。
■反転攻勢
６月23日、大阪市北区にある大阪市中央公会堂（中乃島公会堂）で１２００名が結集して、「差別・排外主義者を利用し労働組合潰しをおこなう資本・権力の弾圧に抗議する６・23総決起集会」（実行委員長・樋口万浩全港湾大阪執行委員長）が開催されました。反転攻勢の開始です。集会には、関西一円の労働団体、市民団体ほか多くの参加がありました。
７月３日には、大阪広域協組及び同協組加盟の株式会社中央大阪生コン（中央大阪生コン）は、昨年12月12日の関西地区生コン支部（関生支部）など関西生コン関連労働組合連合会が行った生コンやバラセメント輸送の運賃値上げをもとめるゼネラルストライキが違法なものだったとして、関生支部を相手取り大阪地方裁判所に提起していた営業妨害禁止を求める仮処分命令申立を取り下げました。これは事実上、大阪広域協組の敗訴で、関生支部側の勝訴です。
また7月10日、和歌山県警察御坊警察署は渡邊臥龍こと渡邊昇を逮捕しました（資料4）。容疑は器物損壊です。渡邊昇容疑者と仲間十数名は、本年1月25日、和歌山県生コン工組の丸山克也理事長と大阪広域協組４人組とともに連帯ユニオンの活動を妨害し、その際、渡邊昇容疑者は連帯ユニオンの自家用車を破損させという容疑です。現在、渡邊昇容疑者は、日本第一党最高顧問の瀬戸弘幸や和歌山県生コン工組の丸山克也理事長、大阪広域協組の地神秀治副理事長、大山正芳副理事長、矢倉完治副理事長、木村貴洋理事長らとともに多数の刑事告訴を受けていて、７月１５日には大阪広域協組の事務所とレイシスト集団に金をわたしていると思われるオーナー会の事務所に和歌山県警の強制捜索がありました。今後、同告訴で逮捕者が続出する見込みとなっています。
＜資料１＞
大阪広域協組‐差別排外主義者。どす黒い関係が一目瞭然。
http://rentai-union.net/movie-koiki
＜資料２＞
ヘイトスピーチ解消法に逆行
著名なジャーナリストらが、「レイシスト集団を利用する大阪広域生コン協組に抗議する共同声明」を公表した。ジャーナリストの青木理、魚住昭、斎藤貴男、竹信三恵子、安田浩一、ルポライターの鎌田慧、作家の中沢けい、精神科医の香山リカほか31人の方々がよびかけ人となっている。（５月１日現在）
http://rentai-union.net/archives/1134
＜資料３＞
関生支部が抗議声明を発表。権力による不当な弾圧に屈することなく、運動を前進させる決意をあらたに
http://rentai-union.net/archives/1582
＜資料４＞
【速報】渡邊臥龍こと渡邊昇が逮捕された。同氏と親密関係で行動をともにしていた大阪広域協組や和歌山県生コン工組の丸山克也理事長の責任はいかに？
http://rentai-union.net/archives/1607
（続く）
＜季刊『変革のアソシエ』No33,2018年8月より＞
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