2018年11月04日23時15分掲載
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文化
「今日文学になにができるのか?」 日仏会館のシンポジウム その3
10月16日に日仏会館で行われた「今日文学になにができるのか?」というシンポジウムでフランスからブランディーヌ・リンケル(Blandine RINKEL)という名前の若い作家が来日した。彼女は作家でもあるけれども カタストロフ(CATASTROPHE)という音楽グループに属して歌手としても活動中だという。以下がカタストロフの公演の映像の1つである。
https://www.youtube.com/watch?v=E-A87UMROSM
リンケル氏は本とテキストを分けて考え、自分たちはガリマール社刊行の本のような立派な本よりも、そこに書かれたメッセージの中身=テキストだけが欲しい、と言ったのが印象的だった。そうしてテキストを歌ったり、踊ったりして開いていくことで新しい命を吹き込みたいと言うことのようである。ではトルストイの「戦争と平和」や紫式部の「源氏物語」のような長い本はどのようにテキストとして開かれていけるのか、それはわからない。とはいえ、興味深い言葉である。本をモノとして所有するのでなく、1つの経験として他者とシェアしようということだろうか。読書は孤独の営みでもあり、リンケル氏の考えもおそらくそんな単純なものではないだろうが、しかし、モノとしての本への偏愛というものから自由な人なのかもしれない。
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