2018年11月20日00時07分掲載
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外国人労働者
外国人技能実習生が働く現場で何が起きているか? 〜 外国人技能実習生権利ネットワーク主催(11/11)
衆議院で出入国管理法改正案の審議が11月13日から始まるのを前にして、「外国人技能実習生の実態を知って!」と訴える集会が11月11日、東京で開かれた。
外国人技能実習生権利ネットワークが、総会後の記念講演として開催した「技能実習のリアル〜いま、現場で何がおこっているのか」である。
はじめに、同ネットワークの共同代表である大脇雅子弁護士(元国会議員)が、
「送り出し機関での借金、日本の管理団体の搾取、まったく人道に反する扱いである。公的な職業安定機関が労働者の権利が守られるよう紹介すべきで、12カ月以上の外国人居住者を移住者として保護する国際ルールも知らない人がつくろうとする制度は、技能実習生制度の問題を拡大するだけである」と挨拶し、改正案を批判した。
その後、クリーニング業界の外国人技能実習生の実態について鈴木和幸さん(NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート)、続いて外国人技能実習生問題に長年取り組んできた甄凱さん(岐阜一般労働組合)が講演し、さらに佐々木史郎さん(全統一労働組合書記長)、土屋信三さん(スクラムユニオン・ひろしま委員長)、指宿昭一弁護士がそれぞれ報告した。
鈴木さんは、クリーニング業界が価格競争によって組織的に技能実習生を使うようになり、不正・不当な競争が拡大していった経過を報告した。
甄凱さんは、カンボジア、中国、ベトナムの実習生の事例について、早朝から深夜までの長時間労働、残業代は時給300円、賃金未払、強制貯金、給与明細書や雇用契約書の不提示、労働災害、うつ病による自殺未遂、さまざまな差別・いやがらせなどを報告した。
佐々木さんは、岩手県の建設会社に雇用されたベトナム人技能実習生が福島県で除染作業に従事させられた事件について報告した。
土屋さんは、日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)において、フィリピン人技能実習生が“電気機器組み立て”という実習計画とは異なり、新幹線車両に窓や排水パイプ、カーペットやトイレを取り付ける作業しかしていなかったことや、法務省と外国人技能実習機構の調査により実習計画違反を指摘され、99名の実習生が解雇された事件について報告した。
指宿弁護士は、茨城県の「協同組合つばさ」で農業に従事していた中国人技能実習生の裁判で、
「残業代の支払いを命じた判決があったが、日常的なセクハラ行為は認められなかった。控訴して争う」と述べた。
最後に、移住連の鳥井一平代表理事が、
「報告された実態は氷山の一角。日本は、研修生・実習生と称して人権を無視した単純労働、低賃金労働者を受け入れてきた。今や外国人労働者無しに日本経済は回らない状況になっている。新たに外国人を受け入れても、技能実習制度の問題を解決するものでなく、問題を引き起こす制度をさらに作ることに過ぎない。技能実習制度を廃止し、人権と労働権が保障された多民族多文化共生社会を作ろう」と発言した。
<報告と写真:伊藤彰信>
〔日中労働情報フォーラム(Japan China Labor Information Forum = JCLIF)ウェブサイトから転載〕
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