2019年01月04日23時41分掲載
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コラム
マクドナルドVS町長、勝ったのは・・・ Ryoka (在仏)
昨年の5月、フランスは大西洋に浮かぶ島にある小さな町の町長が、マクドナルドの出店に反対している旨の記事を書いた。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201805130000340
ドリュ・ドレロン町のグレゴリー・ジョンドル町長が、最初に建設許可証にサインすることを拒んでからすでに4年。
10月11日、ついにその審判が下った。
勝ったのは・・・
天下のファーストフードチェーン、マクドナルド。
町長は、「ファーストフードは健康を害する」などの言い分では勝ち目はない(※)と判断し、ドライブインが立地に適さないことを争点にして戦った。(※健康を害すると言われている食品はファーストフード店に限らず、スーパー等にも置かれていて、筋が通らないため)
町のあるオレロン島(ils d'Oleron)は、フランス西部でも屈指の観光地。普段は人口3千200人の町も、夏になると観光客でごった返す。
当然、マクドナルドがあれば人が集まり、ドライブインにも列ができる。場所はスーパーなどが連なるショッピングゾーンの一角。ドライブインの列が長くなれば他の商店に出入りする客の行く手を塞いだり、日常的に事故を引き起こしかねない。
そう訴えたものの、軍配はマクドナルドへ。
ならば、と、町は最後の賭けに出た。上告することにしたのだ。
これまでの裁判では、ドライブインで発生するであろうアイドリングによる大気汚染は議題にすらならなかった。これについて、ボルドーの控訴院は、町側の言い分が十分に審議されなかったことを認め、町の不服を受理している。
工事の遅延のために毎日300ユーロ払い続けてきた罰金は、11万ユーロ(約1430万円)に膨れ上がった。思わぬ出費となったわけは、7月に確定する予定だった判決が10月に延期されたからだ。小さな町の財政には大きな痛手だが、ここで負けを認めてしまえば、払い損になってしまう。だから町は、僅かな希望が残されているなら最後まで戦おうと決めた。
実は、フランスでファーストフードチェーンの出店を拒否したのは、ジョンドル町長だけではない。2015年、オーベルニュ地方のオービエール町の町長もバーガーキングの出店を断っている。2年続いた裁判の末、ここでもファーストフード店の出店を許可することになってしまったが、一連の事態をメディアが取り上げたことで、市町村が大手ファーストフード店にNOを突きつけられることを周知できた。
https://france3-regions.francetvinfo.fr/auvergne-rhone-alpes/puy-de-dome/clermont-ferrand/burger-king-aubiere-63-ouverture-encore-refusee-municipalite-1322127.html
最終的な判決確定には、少なくとも一年を要する。
その間、町は「環境にも人にも優しい取り組み」を続けていく。ごみゼロ運動を掲げ、町が所有する農地で有機農業を始めたい人を募り、そこで採れた野菜を使った料理教室を主催し、可能な限りオーガニックの給食を提供するetc
ジョンドル町長はこう問いかける。
「2015年から2030年までにCO2の排出量を25%削減する目標を立てながら、ファーストフード店のドライブインで発生するCO2の排出量を問題視しない町の姿勢に一貫性はあるだろうか?」
「地産地消などの、貪欲な食計画を掲げる町で、参入する外食産業が目標をクリアしているかどうかを考慮しないとしたら、なんのための計画なのか?」
そしてこう続ける。
「市民の多くは現状に甘んじている。でもだからと言って、このまま指をくわえて待つだけでいいはずがない。なぜ一刻も早く今とは異なる生活にシフトしなければならないのか、我が町が事細かく模範を示す必要がある。」
来年の今頃には良い知らせが聞けることを期待したい。
Ryoka ( 在仏 )
■我が町にマクドはいらない Ryoka ( 在仏 )
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201805130000340
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http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201809242210321
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http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201810132235326
■まだまだ続く、巨大デモ「Gilets jaunes(黄色いベスト)」 Ryoka ( 在仏)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201812052110463
■ブルキニ騒動で私たちが聞き逃したこと シャードルト・ジャヴァンによる「共和国にかかったベール」 Chahdortt Djavann (翻訳・紹介 Ryoka 在仏 )
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http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611042136275
■イタリア人の映画監督がイタリア中部アマトリーチェ地震の被災者らをパスタにたとえた風刺画を読み解く 〜母に捧げる風刺画の読み方〜 Francesco Mazza(翻訳 Ryoka)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201610200811454
■シャルリー・エブドはなぜイタリア人被災者をラザニアに例えたのか 〜 風刺漫画について〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201610161954160
■シャルリー・エブドのシリア難民を扱った風刺画について 〜批判に対する作者RISSの反論〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201510021439525
■不可解な風刺画掲載本
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201503112107253
■シャルリー・エブドは難民を馬鹿にしているのではない
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201509161922143
■拝啓 宮崎駿 様 〜風刺画について〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201503102218542
■「日本 川内原発が3・11のトラウマを呼び覚ます」 社会学者 セシル・浅沼=ブリス Cecile Asanuma-Brice (翻訳・紹介Ryoka)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201604221513295
■フランスの原子炉相次いで停止、電力不足の懸念も Ryoka (在仏ブロガー)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201610200750554
■「またしても投票できず」 Ryoka ( 在仏 ) 〜海外在住の日本人の投票事情に関する日刊ベリタ編集部への緊急寄稿〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201710260123104
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