2019年01月14日11時14分掲載
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コラム
「日本から遠い」? 放送局による新鎖国
今、NHKでは他国で起きている社会事象、とくに経済をめぐって起きる社会的確執をなるだけ日本に紹介させまいとしています。そのためにそのような企画を却下する姿勢があります。しばしば使われる表現が「日本から遠い話題だから」。今は欧州でも10時間ほどで訪れることができる距離感です。「ふらんすに行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し」 と嘆いた萩原朔太郎の時代とは異なるのです。「この話は日本の視聴者には遠い」、つまり、日本の視聴者が他国で起きていることには関心がない、と言うのです。あるいは、「日本で起きていることと同様のことが起きているのなら、日本で取材すればいい」とも言います。しかし、同じような経済状況になっていたとしてもそれに対する人々の考え方や行動は異なっています。そこから学べることは多々あるはずなのです。
今、世界はグローバル資本主義でつながっていますから、きわめて世界は狭くなっていますし、日本に入ってくる品々は世界各地とつながっています。そして、外国の労働者は日本の労働者と競合しているとも言えます。こうした時代に、外国で起きている経済事象を見つめることは日本における私たちの生活の基盤を見つめる貴重な機会になりえるはずです。しかし、なぜそれをさせないように努力しているのでしょうか。なぜ取材者を干しているのでしょうか。視聴者からお金を半ば強制的に徴収し、視聴率やスポンサーに縛られないですむNHKには民放にはできない使命があるはずです。それが実行されないならNHKには存在理由がないと言って過言ではありません。
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