2019年01月18日15時18分掲載
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文化
フランソワ・リュファンが「黄色いベスト」に捧げる新作ドキュメンタリー映画を製作中
フランスで2016年に始まり大きな動きとなった政治変革運動の「立ち上がる夜」(Nuit debout)。その起爆剤となったのがドキュメンタリー映画「メルシー・パトロン!」だった。これはフランス北部のテキスタイル工場が工場の東欧移転によって閉鎖となり、労働者が疲弊していく状況と、それに対する闘いを描いた映画である。この映画が2016年3月31日にパリの共和国広場で無料上映されたことで多くの人々の心に火をつけたのだった。監督のフランソワ・リュファンは当時、北の地方都市アミアンでFAKIRという隔月の新聞を創刊編集していたが、そのジャーナリズムと闘争の延長線上で初監督した映画が「メルシー・パトロン!」である。数か月で50万人の観客を集め、翌年のセザール賞最優秀作品賞(ドキュメンタリー部門)を得ている。
このフランソワ・リュファン氏は2017年には国会議員に左派連合の「服従しないフランス」から立候補して当選し現在は国会議員でもある。その彼は国会でマクロン大統領率いる与党「共和国前進」の進めるネオ・リベラルな政治と対峙しているのだが、その1つの新しい形が新作映画だろう。映画のタイトルは<>(太陽が欲しい)であり、今も週末ごとに各地で反政府の運動を継続している「黄色いベスト」に捧げられたものだという。フランスでの公開は4月3日だと言う。
黄色いベスト(gilets jaunes)は暴力シーンばかりが中心に紹介されるために乱暴狼藉ものの印象を持つ人がいるかもしれないが、現在、市民が法案を起草して国民投票で立法する制度を提案し、市民が政治にもっと参画してプロの政治家の公約破りを許さないシステムを要求している。この「黄色いベスト」はある意味で、ポスト「立ち上がる夜」とも言えるものであり、さらに次の運動へと大きなうねりとなっていく可能性もある。
村上良太
■黄色いベスト、立ち上がる夜、そして日本
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■フランスの現地ルポ 「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」(社会評論社)
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■マクロン大統領と金融界 マクロン大統領の政権の本質を理解するには本山美彦著「金融権力」が不可欠
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