2019年02月09日15時16分掲載
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少しづつ平和減ってる砂時計 レイバーネット日本川柳班『反戦川柳句集』 大野和興
労働者の表現集団レイバーネット日本の川柳班が編集したブックレット『反戦川柳句集 「戦争したくない」』が発刊された。同川柳班はこれまで2冊の句集を出している。第1集が2010年に出た『がつんと一句―ワーキングプア川柳』、第2集が2013年の『原発川柳句集』。今回が三冊目となる。88ページの小冊子だが、中身は濃い。
「まえがき」によると、2015年の安保法強行採決後、川柳班の句会では戦争の予感を詠む句が増えたそうだ。そうした句から何首かを選び、さらに「反戦・戦争」川柳を公募し編んだのが本書である。
心に染み、読むものを考えこませる句、ニヤリと笑ってポンと膝を打つ句、そうだそうだとこぶしを振り上げたくなる句、そんな句が詰まっている。数句を好みで選んでみた。
いまこのへん昭和年表にらめっこ
中東に野草を踏むな自衛隊
子を産ませ爆弾にした国忘れ
応募川柳もいい。その中から1句。
少しづつ平和減ってる砂時計
1月28日、安倍首相の施政方針演説は、日露の戦争に勝つことを祈った明治天皇の歌から始まった。29歳の若さで獄中死した戦前の鶴彬の句の数々が頭の隅をよぎった。
手と足をもいだ丸太にしてかへし」。
昭和初期の新興俳句運動の俳人渡辺白泉は「戦争が廊下の奥に立つてゐた」と詠った。
鶴彬は治安維持法違反で二度獄に入り、獄中赤痢にかかって1938年に死亡。渡辺白泉は1940年に京大俳句弾圧事件で検挙された。かつて命がけの文化運動というのがあったのだ。時代がいま繰り返されようとしている。本書は、抵抗する表現者の流れが途絶えてないことを教えてくれる。
レイバーネット日本 東京都板橋区向原2−22−17−108
tel:03-3530-8578
頒価700円、
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