2019年02月12日21時56分掲載  無料記事
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検証・メディア

ジェフ・キングストン氏が豹変したジャパンタイムズについて書いたコラム”Media ethics betrayed in Japan” ( Jeff Kingston ) 言論機関への政府介入事件の可能性も

  最近、ロイターなどの記事で、日本の老舗の英字新聞、The Japan Timesが歴史修正主義にスタンスを変え、政府から広告をもらうようになったと知って唖然としたばかりだ。ニューヨークタイムズを新聞販売店で定期購読すると、The Japan Timesも一緒に否応なく購入されているため、なおさら、The Japan Timesのそのような変化は嘆かわしく思われていた。そんな中、The Japan Timesの元コラムニストのジェフ・キングストン氏(テンプル大学日本校の教授 アジア研究)が、この件について直接、コラムを別のメディアに書いていたのを読んだ。2月12日付のEast Asia Forumである。 
 
 ”Media ethics betrayed in Japan”(日本でメディアの倫理が裏切られた)という題である。この文章によると、キングストン氏は安倍政権を厳しく批判してきた論者であり、そのためにキングストン氏のコラムは打ち切りになったようだ。そのあと、The Japan Timesには日本政府からの広告が入るようになったとされる。そのきっかけはThe Japan Timesが News2uという企業に買収されたことによる。 
http://www.eastasiaforum.org/2019/02/12/media-ethics-betrayed-in-japan/ 
 
  ”At the same meeting, a senior manager clearly stated on tape that termination of my own column (which was often critical of the Abe administration) had already produced an upside, boosting revenues from government-sponsored content and scoring an interview with Abe.” 
 
 「同じ会議の際、一人の編集幹部がはっきりとテープにこう述べた。私のコラム(しばしば安倍政権に批判的だった)を打ち切ったことで、財政事情が逆転し、政府がスポンサーのコンテンツによって収入がぐっと増え、安倍首相のインタビューもできたのだ、と。」 
 
  これが本当なら、政府による報道メディアへの露骨な介入事件ではなかろうか。The Japan Timesの権力に媚びなかった過去を知る人々にとっては悪夢である。そもそも”government-sponsored content”(政府がスポンサーのコンテンツ)とは何のことだろう。詳細を知りたいものだ。そこにいかなる因果関係があったのか。国会でどなたか追及していただきたい。 
 
  安倍首相は今日、国会で自分にも「言論の自由」があると述べたそうだ。しかし、ジェフ・キングストン氏によると、これまで自由に政府を批判できた老舗新聞が「反日」と攻撃され、それを買収した企業によって歯に衣着せぬコラムニストたちの連載が切られ、それによって政府広告費が激増したと言うのである。キングストン氏は冒頭、こう筆を起こしている。 
 
 ”Imagine that the editorial page of The New York Times suddenly shifted dramatically rightward and columnists critical of US President Donald Trump were ousted and replaced by sycophantic pundits. ” 
 
 「想像してみよう。もしニューヨークタイムズの論説欄が突然、劇的に右傾化し、トランプ大統領に批判的だったコラムニストたちが追い出され、権力にへつらう先生たちばかりになった場合を・・・」 
 
  だが、ニューヨークタイムズは今も、The Japan Timesと一緒でなければ配達してもらえない。 
 
 
 
※ロイターの記事の日本語版が以下。 
「焦点:『慰安婦』など表記変更 ジャパンタイムズで何が起きたか」 
https://jp.reuters.com/article/japan-times-korea-insight-editorial-idJPKCN1PJ050 
  「今後、ジャパンタイムズは徴用工を『forced laborers(強制された労働者)』ではなく『戦時中の労働者(wartime laborers)』と表現する。慰安婦については『日本の軍隊に性行為の提供を強制された女性たち(women who were forced to provide sex for Japanese troops)』としてきた説明を変え、『意思に反してそうした者も含め、戦時中の娼館で日本兵に性行為を提供するために働いた女性たち(women who worked in wartime brothels, including those who did so against their will, to provide sex to Japanese soldiers)』との表現にする」 


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