2019年03月24日17時47分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】 西サハラ第二ラウンドテーブル 平田伊都子
「日本は国連外交をモットーにしているが、国連はみんなが信じているほどありがたいものではない」とは、3月22日の参議院外交防衛委員会における、アントニオ猪木参議院議員の冒頭発言です。 お説ごもっともです。 しかし、ベネズエラ内紛では、連日のように米国ベネズエラ担当エリオット・アブラムに操られるジャーナリストたちが、「ベネズエラを制裁しろ」と叫ぶなか、グテーレス国連事務総長は、<国連はGood Offices(調停事務所)>という看板を盾に、アメリカの制裁強要をかわしています。
国連が最大分担金国アメリカと正面切って闘うことは、難しいです。 しかし、アメリカ現政権の勝手気ままな暴走外交を辛うじて止めているのが、国連であることも事実です。 国連はスーパーマンでも神様でもありません。 が、良識のある「Good Office(調停事務所)」でいてください。
(1)やっと国連が発表した西サハラ第2ラウンドテーブル(円卓会議);
<国連役立たず論>の急先鋒は、2005年8月から2006年12月までアメリカ国連大使を務めた、ジョン・ボルトン・アメリカ国家安全保障補佐官だ。ジョン・ボルトン・アメリカ国連大使(当時)は、国連西サハラ人民投票を再興させようと努力したが、エリオット・アブラム副安全保障担当(当時)の邪魔が入り、任期切れで国連西サハラ人民投票を断念した。国連事務総長西サハラ個人特使の任に着いたホルスト・ケーラー元ドイツ大統領は、ジョン・ボルトンと会談した。6年間も国連交渉の席に着くのを拒否し続けたモロッコが、渋々、ホルスト・ケーラーが用意したラウンドテーブルに座ったのは、ジョン・ボルトン・アメリカ国家安全保障補佐官が睨みを効かせているからだ。
一方、フランスがモロッコを支えている。フランス人ステファン国連事務総長報道官はモロッコ寄りで、西サハラがお嫌いのようだ。西サハラを取材するリー記者をモロッコ国連大使と共謀して、2018年7月に国連から追放した。2019年3月16日、リー記者から「誰でも参加できる国連のイベント会場に入ろうとしたら、又、追い出された」と、連絡が入った。報道の自由を謳う国連が、私利私欲で記者を追放するとは??信じられない。モロッコもステファンも、ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使が主催する<モロッコとポリサリオ・西サハラ代表の交渉>を嫌っている。ステファン報道官は、西サハラ問題を記者会見で扱わないようにしてきた。ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使が、ニューヨーク国連本部でなくベルリンの個人事務所で活動しているのは、モロッコや国連報道官の妨害を察知したからだろうか? かくして、ケーラー個人特使は、西サハラ第二ラウンド・テーブルの開催に漕ぎつけた。開催日の3月21日と22日になってやっと、国連副報道官が短く西サハラ第二ラウンドテーブルのことを報せた。
(2)国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領の記者発表:
2019年3月21日と22日にスイスのバージンズで、西サハラ第二ラウンドテーブルが開催された。
国連事務総長西サハラ個人特使で元ドイツ大統領ホルスト・ケーラーの招待に応じ、両当事者のモロッコ代表とポリサリオ西サハラ代表と、オブザーバーのアルジェリア代表とモーリタニア代表が一同に会した。3月22日の閉会後に、ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使が個人声明と共同声明を発表した。その要約を下記に紹介する。
*国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領の個人声明;
ケーラー特使は、「全ての代表がこの会合で意思表示できたことを、嬉しく思う。そして、このラウンドテーブルを仕切ってくださったスイス政府の暖かい支援に感謝の意を表したい」と、口をきり、「代表団の前にはまだまだ、多くの困難が横たわっている。誰も、即、解決できるなんて妄想は抱いてないが、基本的な相違点や同意できない問題に遭遇しても、相手の言い分に耳を傾けて欲しい」と、続け、「この紛争のおかげで地域人民が被った人道的受難や不穏な情勢などなど、もはや容認できない」と、西サハラの悲劇に言及した。
*西サハラ第二ラウンドテーブルの共同声明;
「4つの代表団全員が賛同した、共同声明を読み上げる」と、国連事務総長西サハラ個人特使で元ドイツ大統領ホルスト・ケーラーが共同声明を発表した。「代表団はお互いに尊敬の念をもって、礼儀正しく、かつフランクな雰囲気の中で会議に参加した」と、会議の模様を表現し、「2018年の国連安保理決議2440に基き、西サハラ人民に民族自決権を約束できる、正当で持続性があり両者が納得のいく西サハラ問題の政治的解決を、どうすれば達成できるか、、真剣に討議した」と、声明は語り、「西サハラ問題の解決は、マグレブ(北アフリカ)地域に多大な貢献をすると、代表団全員が確信している。そして全員が解決に向けての責任を負っていることを改めて認識した」そして声明は、「代表団は、個人特使が同様な形の再会へ招待したことに、賛同した」と、結んだ。
(3)西サハラ第二ラウンドテーブル直後の両当事者記者発表(3月22日):
*ポリサリオ西サハラ代表団の記者発表;
ポリサリオ西サハラ難民政府は記者会見で、「ポリサリオ戦線西サハラ難民政府は、平和で偽りのない解決を目指し続ける。国連事務総長個人特使の弛みない努力に感謝し、国際社会が彼を支援することを強く求めている。しかし、我々は平和を脅かすものに、目を背けるわけにはいかない。西サハラは相変わらずモロッコの不法で残虐な占領下にあり、その占領体制は西サハラ人民の人権を侵害している。占領と民族自決権とは相反する」と、訴えた。さらにポリサリオ西サハラ難民政府は、「次回のラウンドテーブルに対する我々の目標は、西サハラ人民の基本的人権を尊重する公正で普遍的な解決に向けて、必要な要素を構築する事にある。我々は、民族自決権と独立という我々人民の不可欠な権利を達成するため、誠実に先入観なしに次回に向けて準備をする」と、決意を語った。
*モロッコ代表団の記者発表;
モロッコ代表団長ナセル・ブリタ外務大臣は、「<独立>とか<人民投票>とか<民族自決権>とか、ポリサリオが要求している戯言は、もはや国連安保理では相手にしていない」と、ポリサリオ西サハラ代表の要望を馬鹿にし、「今や頑固なイデオロギーに凝り固まった考えを捨てるべきだ」と、こき下ろした。そしてブリタ外務大臣は、「モロッコ領土下での地方自治権こそが、現実的な西サハラ解決策であって、それ以外の提案には一切、聞く耳を持たない」と、言い切った。
モロッコは西サハラ紛争の対戦相手であるポリサリオ西サハラ代表を排除して、アルジェリアを交渉相手にしようと、元モロッコ宗主国のフランスと企みましたが、アルジェリアはあくまでもオブザーバーとしての立場を変えませんでした。 オブザーバーとして西サハラ第二ラウンドテーブルに参加したアルジェリア副首相兼外務大臣ラムタネ・ラマムレは、「具体策と目覚ましい進展が、国際社会の賛同を得、国連の作業をより加速させる」と、アルジェリアのマスコミに語りました。 そして、「討論は大変、面白かった」と、付け加えました。 どう面白かったんでしょうね?
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年3月24日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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