2019年03月28日16時13分掲載
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中国
中国で塵肺被害労働者を支援する活動家への弾圧続く 香港紙が報道
先週拘束された中国の労働アクティヴィストについて、香港紙「明報」が報じていましたので訳しました。塵肺症労働者の賠償支援をしたことが「公共の秩序の騒乱」にあたるとのことのようです。労働者の健康は害してもいいが、公共の秩序は乱してはいけないようです。さらにウェブメディア「新生代」の2名の編集者も拘束されたとのことです。「新生代」はこれまで長年にわたり労働者の権利にフォーカスし、塵肺病労働者の権利擁護の活動を支援してきています。(稲垣豊)
原文はこちら
https://m.mingpao.com/pns/%e4%b8%ad%e5%9c%8b/article/20190322/s00013/1553191998066/%e9%97%9c%e6%b3%a8%e5%a1%b5%e8%82%ba%e5%b7%a5-%e8%87%aa%e5%aa%92%e9%ab%94%e7%b7%a8%e8%bc%af%e8%a2%ab%e6%8d%95-%e5%a6%bb-%e6%b7%b1%e5%9c%b3%e8%ad%a6%e6%8c%87%e6%8e%a7%e4%b8%88%e5%a4%ab%e6%90%8d%e5%85%ac%e5%85%b1%e7%a7%a9%e5%ba%8f
以下、翻訳です。
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●塵肺労働者を報じた独立メディアの編集者が逮捕
「明報」2019/3/22
深セン警察は、昨年8月に佳士(JASIC)の労働紛争に対して弾圧を強行したのちも、労働運動活動家の拘束を続けている。一昨日の未明、さらにウェブメディア「新生代」の2名の編集者を拘束した。「新生代」はこれまで長年にわたり労働者の権利にフォーカスし、塵肺病労働者の権利擁護の活動を支援してきた。拘束された一人、危志立(写真)の妻は中国国内でも名の知れたフェミニスト活動家の鄭楚然。彼女によると警察が危志立を拘束するさいに「公共秩序を乱した」と何度も恫喝したという。
鄭楚然が昨日ウェブに公開した情報によると、その日(3/20)の未明の午前1時ごろ、夫の危志立は塵肺病労働者の権利活動を支援したことで、広州で深セン警察に広域逮捕された。鄭楚然の書き込みでは、危志立は両親の実家のアパート付近に潜んでいた警察によって逮捕されたという。警察は危志立を逮捕したのち両親の家を家宅捜索し、彼のコンピューターや携帯電話などを没収して証拠写真を撮るとともに、彼に手錠をかけた。
◎「新世代」の同僚も同日に行方不明に
鄭楚然が危志立の両親にかわって述べたところによると、警察は捜索のあいだずっと恫喝めいたことを述べ、危志立は「洗脳」されたことで塵肺病労働者の支援を行い、「公共秩序騒乱」にあたり、彼を連行して「教育」するのだという。危志立の父親が警察に身分証明書の提示を求めた際、一人の警官は深セン龍華公安局の人民警察の身分証を提示した。
鄭楚然によると、夫が逮捕されたのち、彼女は深センと広州の複数の派出所に事情を聴いたが、いずれも「そのような人物は記録にない」と答えた。危志立の同僚で「新生代」の編集者、柯成冰もその日の晩に連絡が取れなくなっており、逮捕された疑いが濃い。
鄭楚然がきのう本紙に語ったところでは、危志立を逮捕した警察は「今晩は多くの人間が逮捕されている」と言ったという。
今年1月8日に「新生代」の編集長、楊鄭君が広州で深セン警察に連行され、その後「社会秩序騒乱」の容疑で逮捕された。現在は深センの拘置所に収監されている。楊鄭君が逮捕された前日、湖南省の塵肺病労働者らが、かつて働いて罹患した深センにやってきて賠償を求め、警察に排除される事件があった。その際に警察は楊鄭君が佳士争議に関連して出頭命令が出ると述べていたが、「新生代」の関係者は塵肺病労働者の支援をしたことで逮捕されたのではないかと考えている。
2018年11月、かつて深センで解体工事に従事して塵肺病を患った湖南省出身の労働者と塵肺で死去した労働者の家族ら300名余りが深セン市当局に賠償を求めにやってきたが、深センの警察はマスタード入りの水を放水したり催涙ガスで労働者らを排除した。その後、深セン市当局は一か月以内に新たな賠償案を提示すると約束し、塵肺労働者らをバスで湖南省に送り返した。
今年1月に入り、また別の塵肺病労働者らが深センにやってきて賠償を求めたが、当局に強制的に送り返された。
鄭楚然によると、「新生代」じゃこれまで塵肺症労働者の賠償要求を支援し、最近では危志立は労働者らに法的アドバイスをし、時には真夜中まで支援を求める労働者に対応してきたという。
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