2019年03月28日17時57分掲載
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文化
”ソ連のスーザン・ソンタグ”と言われた批評家、マリア・トゥロフスカヤさんが死亡(94) ミハイル・ロンム監督「ありふれたファシズム 野獣たちのバラード」の脚本も担当
「ソ連のスーザン・ソンタグ」と言われていた批評家のマヤ・トゥロフスカヤ(Maya Turovskaya 1924- 2019) さんが亡くなった。94歳だった。ニューヨークタイムズが報じたのだが、3月4日でドイツのミュンヘンの自宅でだった。この十数年はドイツに移住していたのだと言う。
マヤ・トゥロフスカヤさんはミハイル・ロンム監督のドキュメンタリー映画「ありふれたファシズム 野獣たちのバラード」(Ordinary fascism ) の共同脚本で知られているが、映画台本以外にも新聞・雑誌に寄稿したり、文化評論の本を何冊も書いていたとのこと。後者ではドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒト論やソ連の映画監督、アンドレイ・タルコフスキー論などがあるようだ。
こうして訃報を書いていて思うのだが、スーザン・ソンタグを今の時代にどれほどの人が知っているか、ということだ。さらに、ミハイル・ロンム監督の「ありふれたファシズム」という映画のことである。そしてまた、タルコフスキーという映画監督もだ。どんどん時代が移り変わっていく。ロシアでもソ連を同時代で経験した人は28歳以上になる。そうした過去の歴史や文化遺産を忘却したら、「ソ連のスーザン・ソンタグ」と言っても、とても伝わらないであろうことを思う。それでも、ニューヨークタイムズのオビチュアリー記事”A renowned Russian critic and documentarian "を読むと、そこに豊かな文化的遺産が潜んでいる、埋もれている可能性を感じた。
ソ連は難破した豪華客船タイタニック号を想起させるが、海中深く沈んだその船には色んな意味で未来につながるヒントがまだたくさんあるのではなかろうか、と思える。マヤ・トゥロフスカヤ氏の書き残したものもそうだ。
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