2019年04月13日00時23分掲載
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人権/反差別/司法
アムネスティが2018年の世界的な死刑動向を発表 世界的に死刑が減少するなか日本は増加
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは毎年、世界の死刑の動向をレポートにまとめ発表しており、2018年度版が4月10日に発表された。それによると、世界の死刑執行数は31%減少し、少なくとも過去10年間で最低を記録。そのなかで日本、米国、ベラルーシ、シンガポール、南スーダンなどで執行数が増加した。司会絵尾廃止する国は増えており、世界は着実にその流れに沿う動きとなっていることも明らかにしている。そのなかでオウム関連で大量死刑を実行した日本は、明らかに人権後進国であることがわかる。(大野和興)
アムネスティ発表に概要は以下の通りだ。
■2018年の死刑状況:執行数が劇的に減少
アムネスティは、2018年の世界の死刑状況の調査結果をまとめた。調査は、アムネスティが各国で得られた信頼できる情報にもとづく。調査で明らかになったことの一つは、世界の死刑執行総数が、前年のおよそ3分の1に減少し、少なくともこの10年間で最低を記録したことである。ただし、毎年数千人が処刑されているものとみられる中国では、死刑に関わる情報は国家機密扱いとされているため、今年も信頼できる情報を得られなかった。
死刑大国であるイランでも、麻薬取締法の改正に伴い執行数は前年比50%減と大きく減少した。イラク、パキスタン、ソマリアでも、執行数に大幅な減少がみられた。その結果、世界の死刑執行総数は、2017年の993件から2018年は690件へと大幅に減少した。
この減少は、予想だにしなかった国々がそれまでの政策を転換し、死刑は何の解決にもならないことを認識し始めた証しである。この残虐な刑罰が過去の遺物として葬られるのは、時間の問題である。
■死刑の再開
しかし、前向きな動きばかりではなかった。ベラルーシ、日本、シンガポール、南スーダン、米国では、執行数が増加した。タイでは、2009年以来およそ10年ぶりに執行が再開された。スリランカは40数年ぶりに死刑を再開すると発表し、今年2月に予定される執行にあたり執行人の募集を始めた。
■世界の執行大国
中国は、相変わらず世界最大の執行国である。しかし、死刑に関する情報が一切開示されないため、正確な状況を把握することはできない。アムネスティは、中国では毎年、数千人が処刑されているとみている。
ベトナムは珍しく死刑情報を公表したが、それによると少なくとも85件の死刑が執行された。この数値で、ベトナムは死刑執行数で上位5カ国内に押し上げられ、中国(数千)、イラン(少なくとも253)、サウジアラビア(149)、ベトナム(少なくとも85)、イラク(少なくとも52)となった。
イランでは、執行数が大幅に減少したとはいえ、その数は今だ世界の総数の3分の1を超える死刑大国であることには変わりない。
一方、死刑判決数でみると、複数の国で急激な増加がみられた。
イラクの判決数は、前年の少なくとも65件から2018年は少なくとも271件と4倍超に膨れ上がった。エジプトでは、前年402件から少なくとも717件の判決が宣告され、75%増となった。背景には、ずさんな捜査や強要された自白に基づく著しく不公正な審理で、被告人多数が一斉に死刑判決を宣告される裁判があった。
■死刑廃止へ向けた世界の動き
2018年の数値は総じて、死刑判決も執行も着実に減少していること、また、死刑廃止に向けて各国が実効性ある方策を取っていることを示した。
ブルキナファソは6月、事実上死刑を廃止する新たな刑法を採択した。ガンビアは2月に、マレーシアは7月に、死刑の執行停止を宣言した。米国ワシントン州では、州最高裁判所が同州の死刑制度は州憲法違反であるという判断を下した。
12月の国連総会では、死刑執行停止を求める決議案が、過去最多となる121カ国の支持を得て、採択された。反対票を投じたのは、わずか35カ国だけだ。この事実は、死刑の全面廃止に向けた世界的な合意が、ゆっくりながら着実に形成されつつあることを物語る。
アムネスティは、40年以上にわたり世界中で死刑の執行停止を求める運動をしてきた。今なお、世界のどこかで19,000人以上の死刑囚が、死の恐怖に苛まれる日々を送っている。死刑廃止の闘いは、まだまだ続く。
人は皆、安全な社会を求めるが、死刑が社会不安の解決策になることは、ありえない。世界中の人びとが死刑の廃止を訴え続ければ、私たちは必ず、死刑をきっぱりと廃止することができる。
アムネスティは、すべての死刑存置国に対し、今こそ勇気ある決断を下し、この残虐な刑罰を廃止するよう求める。
2018年末時点で、106カ国が死刑という刑罰を持たず、事実上の廃止も含めると、142カ国が死刑を廃止している。
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