2019年05月01日14時41分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  難航した国連安保理西サハラ決議2468  平田伊都子

 ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の任期を巡る採択は、2019年4月29日(日本時間4月30日)に行われる予定でした。 平成最後を【西サハラ最新情報】国連安保理西サハラ決議で締める積りにしておりましたが、日本時間の5月1日にまたがってしまいました。 
 5月1日と言えば、<メーデー>。 世界的に労働者の日です。 御即位された令和天皇におかれましては、どうか、われわれ労働者にも寄り添ってくださいますよう、お願い申し上げます。 
 
(1)ジョン・ボルトン指導の草案: 
 2019年4月25日、モロッコ国営TV2Mが、「モロッコ政府は、アメリカ国家安全保障補佐官ジョン・ボルトンが指導するPKOミヌルソMINURSOの更新草案で、人権問題の監視業務を加えたことに、強く抗議を申し立てた」と、報道した。新決議草案を作成したアメリカ国連代表部はその草案を、アメリカを含む英国、フランス、スペイン、ロシアに提出したと、国連関係者がモロッコ国営TV2Mで語った。同テレビは国連関係者に、「アメリカ国連代表は単に国連安保理の草案作成者に過ぎない。なぜ、アメリカ国家安全保障補佐官ジョン・ボルトンが国連の作業に口出してくるんだ?」と、不満を言わせた。さらに、国連関係者の言を借りて、「2018年12月の講演でボルトンは<ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)は、経費と時間の浪費をしているだけで、全く役に立たない。西サハラに関して、アメリカが新しい方向づけをする>と、言明している。ボルトンはミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)を潰す積りだ」と、ボルトンへの非難を続けた。 
 一方、ポリサリオ西サハラ難民政府は、「国連新決議案は、国連事務総長が警告したモロッコの新<砂の壁>増設や、国連事務総長西サハラ個人特使のモロッコ調査訪問拒否などの、国連違反事項を明記すべきだ」と、主張した。 
 西サハラ紛争に於けるモロッコとポリサリオ西サハラ難民政府の両当事者は、4月29日に予定されていた国連安保理西サハラ決議の投票に向けて、舌戦を繰り広げていた。 
 
(2)ジョン・ボルトン、何様のつもり?: 
 4月22日に作成されたミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の任命に関するアメリカ草案は、4月23日に、公示された。モロッコの元宗主国フランスは、「モロッコが嫌がる提案には、拒否権を使ってでも反対する」と、ボルトンの指導と噂されるアメリカ草案に、強く反論し、「ジョン・ボルトンは国連安保理の役職に就いていない」と、反発した。 
 モロッコ国営TVM2は、ボルトンによる国連内外での干渉を糾弾するフランスに、強い支持を表明した。そして、モロッコ国営TVM2は、フランスとアメリカの大きな違いは、ミヌルソMINURSOの任期を、半年(アメリカ案)にするか一年(フランス案)にするかという点だと、結論づけた。「まあ〜これまでのように適当に折り合うさ、、15の国連安保理メンバー国のうちアメリカ草案を支持しているのは、ドイツ、ロシア、南アフリカだけだ」と、モロッコは4月29日の国連安保理西サハラ決議の投票結果を待つことにした。 
 ポリサリオ西サハラ難民政府は、アメリカ草案を巡っての非公開討議が難航していて投票が順延になることを予告し提示た。しかし、両当事者がカヤの外に置かれて、投票結果を待つしかないというのは、おかしい?どうして、討議に参加できないのか?? 
 
(3)国連安保理西サハラ決議2468: 
 2019年4月30日ニューヨーク時間(日本時間5月1日早朝)、国連安保理西サハラ決議が採択された。この日が最後となる国連安保理4月議長のドイツ国連大使クリストフ・ホーシェンが、採決を取った。国連安保理メンバー国15のうち、賛成13、反対0、ロシアと南アフリカは棄権し、国連安保理西サハラ決議2468が決まった。南アフリカ国連大使は、「南アフリカは決議に不満だ。まず、西サハラ人民投票の具体的な作業日程が明記されていないことだ。ミヌルソはその名が示すように、人民投票をやるべきだ。我々アフリカ諸国は、植民地宗主国と戦って独立を勝ち取ってきた。西サハラはアフリカ最後の植民地だ。AUアフリカ連合は、アフリカから植民地を一掃する。モロッコはAUアフリカ連合に新加盟したのだから、AUの方針に従うべきだ。西サハラの脱植民地化はAUアフリカ連合とUN国際連合の憲章に詠われている」と、棄権した理由を明確に語った。 
 最後に4月国連安保理議長国ドイツは、「国連安保理は、西サハラ民族自決権を尊重する。両当事者が納得できる持続的な政治的解決を目指す大統領(ドイツ大統領ホルスト・ケーラー、国連事務総長西サハラ個人特使)を、国連安保理は支援していく」と、締めくくった。 
 2019年10月末まで、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の任期が延長された。あと半年間、モロッコは西サハラめがけて、様々な妨害と中傷と扇動をしかけてくる。フランスとモロッコが一年延長を主張したのは、国連と国連事務総長個人特使が交渉疲れで、西サハラ紛争に飽きて遠ざかっていくと踏んでいるからだ。モロッコとフランスとモロッコは一年と言わずもっと長〜く長〜くミヌルソMINURSOを長引かせて、西サハラを忘却の彼方に追いやってしまいたいようだ。こうして、28年間、フランスとモロッコはズルズルとミヌルソMINURSOを引き延ばしてきたのだ、、 
 
 4月30日(日本時間)の国連記者会見で、「国連事務総長個人特使はどこでなにしているのやら?」と、記者が質問しました。 フランス人ステファン報道官は、「あまりにたくさんの事がありすぎて、、私の頭にないことは喋らないことにしている、、西サハラはその一つだ」と、はぐらかしました。 翌5月1日(日本時間)の国連記者会見で同報道官は、「ミヌルソMINURUSOとして知られる<国連西サハラ人民投票監視団>の任期が6か月延長された」と、短く報告しました。 この日の報道室は多数のベネズエラ人記者たちに占拠され、カラオケよろしくマイクを占領し、「ベネズエラでグイド大統領が空軍基地でクーデターを宣言した。国連事務総長はどっちの味方だ!」と、迫っておりました。 
 国連安保理決議2468をただそうと陣取ったモロッコ人記者たちは、ベネズエラ組からマイクを奪うことができませんでした。 
 
 
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年5月1日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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