2019年06月01日14時05分掲載
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検証・メディア
日米首脳会談で米軍基地問題を議論しなかった安倍晋三、それを問題にしないマスメディア Bark at Illusions
日米首脳会談で、「強固な日米同盟」を強調した安倍晋三。しかしその「日米同盟」の要である在日米軍基地の問題は会談で議題にはならなかったようだ。基地の存在に周辺住民は長年苦しめられており、日米地位協定の改定を求める声も強まっている。とりわけ沖縄で建設が進められている辺野古新基地に対する反対の民意が今年2月の県民投票で明確に示された後だけに、辺野古基地建設の問題くらいは首脳会談で議論されて然るべきだった。ゴルフや相撲観戦に興じる暇があるぐらいなら、日本政府が掲げる「強固な日米同盟」の負担を背負わされている人々に対する配慮も少しくらい示すべきではなかったか。
とは言え、ドナルド・トランプ大統領に媚びへつらって機嫌を取り、合衆国政府に付き従うことが安倍政権の外交の基本方針だから、安倍晋三が基地問題に触れようとしないのは仕方がない。沖縄に「寄り添う」と言うのは口先だけで、沖縄の民意に関係なく合衆国政府のご希望通りに辺野古基地建設を進めるという方針は、既に合衆国政府に伝達済みだ。こんな政府に外交を任せておいて、日本国民の意に沿うような基地問題の解決が図れるはずがない。マスメディアが健全な民主主義のために在るというのなら、今こそ、自国の民意を無視して外国の政府の言いなりになっている安倍政権を叩いて、その役割を果たす時だ。
ところが、マスメディアは首脳会談で基地問題が議論されなかったことを、ほとんど問題視していない。
特にひどいのは公共放送を自負するNHKだ。NHKの主要ニュース番組であるニュース7とニュースウォッチ9は今回の日米首脳会談について伝えるニュースの中で、沖縄米軍基地の問題には一度も言及していない。首脳会談2日前のニュース7(19/5/25)は、「首脳会談で注目されるのは……貿易交渉、そして安全保障の問題」だと指摘して「安全保障の面」ではどのような議論が予想されるかと尋ねるキャスターの高井正智に対して、NHKワシントン支局の西河篤俊は「北朝鮮問題」だと解説し、首脳会談前日のニュース7(19/5/26)も焦点は「貿易問題」と「北朝鮮情勢」だと説明して、視聴者の目を米軍基地問題から遠ざける役割を果たし、首脳会談後のニュース7(19/5/27、19/5/28)とニュースウォッチ9(19/5/27、19/5/28)は、首脳会談で基地問題が議論されなかったことなど全く問題にしていない。
他のマスメディアも、朝日新聞(19/5/29)と毎日新聞(19/5/28)が社説で批判したり問題視したりしている以外は、基地問題が首脳会談で議論されなかったことについて、ほとんど批判をしていない。
日頃は「日米同盟」の重要性を説きながら、マスメディアも政府と同じように、ここぞという時に、「日米同盟」の負担を強いられている人々のことを無視している。
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