2019年06月21日14時46分掲載
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反戦・平和
異様な警戒態勢をかいくぐり、幕張「武器輸出見本市」に入ってみました 西村美幸
幕張メッセで開催された国際武器見本市「MAST Asia 2019」は多くの市民が事前登録していたにも関わらず、入り口で入場拒否されました。拒否も理由も定かではありません。その中で幸運にも会場に入ることができた西村美幸さんのレポートをを紹介します。(笠原眞弓)
【入場拒否】
事前に予約していたにもかかわらず、多くの方がMASTの展示会場内に入れませんでした。理由は定かではありません。MASTに反対する市民運動の顔を、いちいちチェックする余力があったのかどうかも疑問です。しかし一度取得できた入場券を取り上げられたり、視察を終えて出てきた市議が仲間と話していたところ外国人スタッフから入場券を強奪され破り捨てられたりなどしたことを考えると、異様な警戒態勢がとられていたのは明らかです。
私の場合、まさに「しれっと」入ることができました。
受付にて、MAST側が警戒しているのと同時に、とにかく段取りの悪さを感じました。日本人スタッフが、待たされた他の(市民運動でない)人々に対応するために別のデスクで受付を始めたところへ、さっと並んで入ることができました。
私たちの運動の仲間は20〜30人程度が入ろうとしましたが、結果的に入れたのは5人足らずではなかったかと思います。
ただ、そうした異常ともいえる過剰な警戒に対し、展示開場は盛り上がりを感じられませんでした。これは前向きにとらえるべきことだと思います。「武器はいらない」「軍需産業は帰れ」といった声が圧力になっているのだと思います。少なくとも、堂々と展示会を開けるような内容ではない、という社会全体の雰囲気にはなっているのではないでしょうか。
展示会場の開場にあわせたテープカットが、森本敏実行委員長らによって行われました。海上自衛隊の音楽隊がにぎやかにかき鳴らしていましたが、坦々と行われたように見えました。
展示会場の入り口では、手荷物検査が行われました。警備員の姿をした日本人がかばんを開けさせ、目視で確認するのみです。手を入れて調べることもなく、上から簡単に「見た」のみの検査でした。
【大手軍需産業が出展】
ベル、ロッキード・マーチンのほか、日本からは川崎重工、NEC、三菱重工、JAXAなどがブースを出展していました。
それぞれ模型を展示したり、カタログを並べると同時に、質問には丁寧に答えてくれます。NECや川崎、三菱はやや人が集まっていましたが、他の多くは閑散としています。各企業の外国人スタッフが、暇を持て余した雰囲気でだべっている姿も見られました。自衛隊の制服を着た人々が目立っていたのと、時々背広をラフに着た人もいました。
海洋での探査技術の向上、通信技術の向上等々アピールしていましたが、多くはあまり理解できませんでした。
オスプレイを開発した企業の一つであるBELL社は、オスプレイ、ヘリ、ティルトローター機能を採用した無人機(らしきもの)の模型を展示していました。ここではスタッフに模型についてきちんと質問をしませんでした。反省しています。
JAXAははやぶさ2の模型を展示していました。やや手作り感が親しみを覚えてしまいそうでした。しかし軍需産業への深い接近には強く警戒をせねばなりません。
【中小企業の出展】
防衛装備庁のブースには中小企業が5つほど連ねていました。
ここは非常にわかりやすい内容で、おもしろいものでした。
簡単に言い換えると、ウイルスレベルで空気を清浄する装置、ポータブルなヘリパッド、地中にパイプなどを敷設する際のカバーとなる陶器、特殊な塗料、クリアに画像圧縮できるソフト、といった技術を持つ各企業でした。
非常に丁寧に解説してくれ、また、楽しそうでもありました。まさに町工場が自らの技術に誇りをもっている雰囲気でした。他方、デュアルユースを強調している企業もあり、軍事分野への参入について多少の引け目を感じているのかとも感じました。
すでに自衛隊が採用しているものも多いようです。
特殊な塗料は、P3C(哨戒機)のエンジンの保管庫に使用しているそうです。
ポータブルなヘリパッドは、去年新設された佐世保の水陸機動団が採用したそうです。これはなかなか衝撃でした。「日本版海兵隊」とも呼ばれる部隊で、米軍との共同侵攻作戦を可能にするものです。沼地でも、海岸でも、どこでもヘリを止められる、あるいは戦車を走らせられる(これは他の自衛隊部隊が採用しているそうです)と言います。一体その海岸はどこの海なのだ、と恐ろしくなりました。
各ブースでは販促グッズも置かれていましたが(おそらくボールペン程度)、ついつい遠慮し、唯一防衛装備庁のボールペンのみいただいてきました。
(「安保関連法に反対するママの会@ちば」FBより)
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