2019年06月27日14時03分掲載
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コラム
かくもトランスなチェ・ゲバラ 宝塚歌劇団の公演ポスター
街を歩いていて、1枚のポスターが目に飛び込んできました。宝塚歌劇団のこの夏の公演のミュージカルのポスターです。目に飛び込んできたのはキューバ革命の英雄、チェ・ゲバラを演じる俳優の顔でした。宝塚歌劇団は女性が男も演じるのが伝統なわけですから、チェ・ゲバラが主人公なら、男役の女優が演じるのは不思議でも何でもないのです。しかし、ゲバラのようにTシャツにまでなって世界中であまりにも頻繁にその顔を見る革命のイコンが女性によって演じられポスターになっていることが、目を引くきっかけではありました。
フランス人の女性の知人は「うわ〜、こんなにもトランス(ジェンダー)な彼を見たことはない。すごい!」と驚いていました。彼女はそれに好感を持って語ったのでした。
ポスターに書かれている「祖国か、死か。」というメッセージも、若干「?」という印象があったのですが、というのもゲバラはアルゼンチンの人間だったので、ここで問われている祖国とはいったいどの国なんだろうか?彼にとっての「祖国」アルゼンチンなのだろうか?あるいは、「第二の祖国」キューバという意味なのだろうか?ゲバラは中南米がアメリカや欧州の列強から独立して国境を廃止して大きな国家になるボリバリズムを信奉していたようですから、その理想である大きな「祖国」の意味なのだろうか。また、メッセージが「革命か、死か。」でないのは、宝塚歌劇団の伝統に沿っているのだろうか?・・・などなど、キューバ革命をどうミュージカルに仕上げたのだろうか?という意味でも、いろんなことを想起させるこのポスターです。
※ボリバリズムの思想的背景 (西俣昭雄)
http://www.js3la.jp/journal/pdf/ronshu03/ronshu003_03Nishimata.pdf
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