2019年06月29日23時26分掲載
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検証・メディア
将来、自民党が下野した場合のNHKについて もとの軌道に戻すための道を考える時期に来た 〜NHK「非安倍化」検証委員会の設置を〜
今回、安倍政権が衆院を解散せず、参院選だけなら、もう少し先になるだろうが、いずれ自民党が下野したとしたら、安倍首相の応援団になっているNHKをもとの軌道に戻すための手術が必要になるはずだ。
今回の選挙に備えた野党共闘の合意文書(13項目)は画期的なものだが、中でも注目は今回、新しく放送事業者の監督権を総務省から切り離して、独立した組織を作ることが盛り込まれていることだ。
「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」の13項目目は「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」
これはNHKだけでなく、民放も含まれているが、まず最も早急に取り組まなくてはならないのがNHKの改革だろう。放送局を管轄する独立行政員会を組織することは必要だが、さらに過去6年間のNHKの報道のあり方や人事、編成などに関する独立した検証が不可欠となる。そのためには、まず何が起きたかを多くの事実を集めて、検証するための市民の委員会を組織する必要が出てくるはずだ。つぶされた番組もあり、それらを再生することも大切だろう。前文科省事務次官の前川喜平氏へのインタビューのケースのようにNHKがインタビューしておきながら握りつぶされた映像もある。正しい情報は国民を悲惨な運命から救えるものだが、今の安倍化したNHKではその任務を果たせない。
たとえ衆院選がなく、もうしばらく安倍政権が続いたとしても、参院選で野党が躍進できれば13項目の実現に向けて動き出すべきだし、13項目目の放送事業者の監督機関の変更も早急に着手するべきだ。今のようなNHKを放置しておくと、過去の戦争の証言記録ばかりか、安倍政権や自民党に好ましくないこれまでの映像や音声記録まで全部廃棄されてしまう恐れもある。敗戦直前の頃、NHKには玉音盤を廃棄するように軍人から圧力がかかったことを忘れてはいけない。
かつて菅直人が厚労省から薬害エイズ問題の資料を提出させたことがあったが、あの時のように、NHKの内部と外部を問わず、証言と資料を集め、外部による検証をするべきだ。NHKを「非安倍化」するための検証委員会を独立して設置することである。不当に左遷された職員は復職させるべきだし、逆に政府に忖度して報道の職業倫理を踏み外した職員はNHKや外郭団体を含めてみな去る必要がある。これがなぜ大切かと言えばNHKが戦時中の大本営発表垂れ流しの歴史を繰り返すことになったからだ。国民の信頼を裏切ったこの罪は重い。今生きている国民だけでなく、戦時中の誤りを戦後勇気をもって証言してきたすべての人々に対する裏切りでもあるからだ。いったい、なぜそうなったか、そのプロセスはどうだったか、そして責任は誰にあるのか。この検証が民主主義を築く上で、欠かせない。
※The McCarthy Era(BBC)
https://www.bbc.co.uk/sounds/play/p03rpf52
※Denazification Law of March 1946(非ナチ化)
https://www.youtube.com/watch?v=4lIoX_OqHFw
Nuremberg: Denazification and Nazi Trials
https://www.youtube.com/watch?v=s827nmMx5-Q
南田望洋
■冷戦時代のイデオロギーから抜けられない安倍政権 世界の潮流の中で迷子に
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201906221206446
■庶民派を装うTV 〜 お前はただの現在などではない 〜
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■進化する機会を得た民進党 勝利して進化する機会を逸した自民党
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201710241640332
■枝野幸男・立憲民進党党首の演説「民主主義の主役は皆さんです。当たり前の社会を取り戻しましょうよ」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201710141845266
■この期に及んでも「自民VS希望」の対決を売るマスメディア 最初に「踏み絵」を踏まされたのは報道各社
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