2019年07月13日19時34分掲載
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政治
参院選の野党共闘の合意13項目の第1項目 〜憲法第9条「改定」への反対〜 戦争リスクの排除が家計底上げ政策を保証
今回の参院選でも野党協力が行われていますが、その要として市民連合が間に入った形で13項目の政策協定が結ばれています。この中には最低賃金1500円を目指し、8時間働けば暮らせるルール作り、という今熱く語られている経済政策も入っています。しかし、1項目目には憲法9条の改定への反対が記載されています。さらに2項目には安保法制の廃止が盛り込まれています。
これらは一見、最低賃金の引上げなどと比べると、多くの人には少し遠いテーマのように見えるかもしれません。しかし、市民連合があえてこれらをトップに持ってきた理由を筆者なりに推察すれば戦争になれば最低賃金の引上げなどは到底、不可能であるからだと言えます。戦争になれば常に税は重くなりますし、労働力も私有財産も無償で無理やり奪われてしまうことになりかねません。戦争体制は国があらゆる資源をいつでも自由に総動員できるシステムです。実際、2015年に可決された安保法制でも国家の必要があれば個人の権利が抑制されることが明記されています。他国が日本を攻撃してくればそれも仕方がないかもしれませんが、自民党政権は解釈改憲で集団的自衛権を認めていますから、米国がイランであれ朝鮮半島であれ南沙諸島であれ戦争を始めれば、日本政府が追随していつ何時であれ戦争に巻き込まれるリスクがあります。すでに安保法制で戦争に巻き込まれるリスクはいつでもありますが、憲法9条を改定して自衛隊が戦力であり、戦争の組織であることが明記されれば平和憲法という大きな歯止めが失われるでしょう。
最低賃金1500円の目標であれ、その他の貧困をなくすためのいかなる経済政策であれ実現するには戦争のリスクをゼロに近づけていく必要があります。庶民の生活底上げとなる経済政策を保証するものが合意の1項目と2項目と言えます。戦争が長期化して重傷を負う自衛隊員が増えれば、その生涯保障だけでも財源がなくなってしまいます。アフガニスタンやイラクでの戦争で米財政が破綻の淵に陥った理由の1つも軍人や退役軍人らへの医療給付額の高騰でした。日刊ベリタの2013年12月に筆者はこう記しました。
「米軍の医療保険費は過去10年間で年間190億ドル=1兆6150億円から、500億ドル=4兆2500億円に増加している(2010年8月)米軍人の医療保険費が10年間で3倍弱に激増しているのだ。」
今、中東などのゲリラ戦争ではできるだけ兵士を殺さず、無能力にしたまま生き永らえさせるような兵器が使われていると言われています。殺すよりも長期間苦しめることができ、国に多額の医療費を使わせ国力を消耗させることができるからです。医療技術の高度化もこの傾向に拍車をかけています。このような持久的な戦争になれば年金の充実どころではありません。無給で家族が介護につきっきりにならなくてはならなくなるでしょう。戦争に巻き込まれないこと、これこそが反貧困政策の基盤であり、最大の経済政策です。
■「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」
来る参議院選挙において、以下の政策を掲げ、その実現に努めるよう要望します。
だれもが自分らしく暮らせる明日へ
1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。
2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。
3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。
4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。
5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止向けた対話を再開すること。
6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指します。
7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。
8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。
9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。
10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金を「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消する。また、これからの家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。
11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数か(パリテ)を実現すること。
12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。
13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。
■戦争を一度始めたら終わらせるのが難しい 〜改憲を訴える政権与党に思う〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201907190251275
■戦争と医療保険費
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201312250157253
■ペンタゴンの軍事費削減 財政難から 11月23日までに超党派でまとめられなければペナルティとして削減額が倍増に・・・
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