2019年07月14日22時39分掲載  無料記事
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政治

自民党議員たちの女性への出産奨励発言は安倍総裁への反旗の徴か

  このところ自民党議員たちが<子供を3人くらい産むように>、とか、<最大の功績は子供を作ったこと>などの発言を行っている。これらの発言は女性への侮蔑だ、とか、遅れた発言である、と野党議員たちから一斉に批判を浴びている。しかし、もしかすると、一見、一枚岩に見える自民党議員たちの中に渦巻く、安倍首相への不満が、このような歪んだ形で表出している可能性はないだろうか。 
 
  安倍首相と昭恵夫人には子供がいない。自民党の三ツ矢憲生衆院議員の「この6年間で吉川有美は何をしてきたのか。一番大きな功績は子どもをつくったこと」という言葉は、暗に<安倍首相には功績がない>ということを示唆したのではないか。自民党の桜田義孝衆院議員の<子供を3人くらい産むように>もそうである。三ツ矢議員を擁護した安倍首相側近の萩生田光一幹事長代行も、である。 
 
  このような解釈はバカバカしいとも思う。だが、今の日本を振り返ると、マスメディアも自民党も忖度ばかりで自由に発言できる人間がほとんどいない。しかし、保守政党である以上、子供をたくさん産んで欲しいといった発言はリスクが低い。と同時に、安倍首相への優越感をそれとなく示すことができる便利な言葉でもあるだろう。精神分析学では隠された欲望が人間には存在しており、そうした欲望が思わぬ失言や失敗で表出する、ということは知られたことだ。でなかったなら、総裁の立場を考えたら、こうした発言はとてもできなかったに違いない。だとしたら、これらの言葉は二重に酷い。筆者はこれまで安倍首相や昭恵夫人を批判をしてきたが、子供がいないことを批判したことはない。 
 
  安倍首相はこれらの議員たちに何か言い返さないのだろうか。あるいは日本の女性たちに向けて何か言うことはないのだろうか。 
 
 
武者小路龍児 


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