2019年07月22日14時40分掲載
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政治
創価学会と公明党 「れいわ新選組」野原ヨシマサ候補の衝撃
今回、TVの選挙戦の報道で「れいわ新選組」の活動が投票後までほとんど報じられなかった本当の理由の1つは、「れいわ新選組」から立候補した野原ヨシマサ氏の公明党への異議申し立て演説だっただろう。野原氏は公明党が平和と福祉の党と言いながら、この10年間、安倍政権と連立を組む中で戦争と勝ち組の党に変質したことを訴えた。その演説は各地で大きな拍手に包まれていた。公明党は自民党のブレーキの役割を果たすとこれまで語って自民党との連立を正当化してきた。これについて野原氏が中野駅前で公明党を高齢の運転者にたとえ、ブレーキとアクセルを踏み間違えると危ないから免許を取り上げろ、と語った時は大きな笑いが起こった。
もし野原氏の演説を地上波で放送したら公明党にとっては大きな衝撃になったはずである。もし公明党の背後にある創価学会の信者が公明党から野原候補に票を移したら、あるいは公明党かられいわ新選組、あるいは野党共闘陣営に票を移したら、自公の選挙協力も、連立政権も崩れていくだろう。野原氏や山本太郎代表の狙いはそこにあった。その狙いは完全には実現できなかったが、確実に種をまくことには成功した。れいわ新選組が2議席獲得したことと、政党要件を満たしたことである。だから、次の衆院選ではTVもれいわ新選組を無視できなくなる。その場合、再び野原氏が出てきたら、どうなるだろうか。あるいは野原氏に代わる第二、第三の造反者が立ちあがったら?
世界史で思い出されるのは、欧州のカトリック教会に反逆したマルチン・ルターら新教徒たちである。ルターたちはカトリック教会が金さえ払えば誰でも天国に行ける免罪符を販売して富を増やしていることを強く批判した。一方、野原ヨシマサ氏は演説の中で、山口代表の率いる公明党は創価学会創設者の池田大作氏の考えを否定し、組織をハイジャックしたと訴えた。そして、原点に立ち返れ、と語りかけ、れいわ新選組こそ池田大作氏が唱えたことに最も近い政党だと語った。その言葉は静かに創価学会員の心に響いているのではないだろうか。というのも、野原氏は沖縄で新基地建設に反対している創価学会員だが、沖縄以外でも山本太郎氏に創価学会婦人部の信者の人たちが各地で今の公明党に対する失望を訴えたとされる。野原氏の擁立は山本氏が無理やり創作した奇策ではなく、創価学会信者たちの現実の声に根付いた戦略なのである。
れいわ新選組が政党要件を満たし、次期衆院選に向けて山本太郎氏らが動き出していくと、創価学会の人々は揺さぶられるだろう。もし、それに対して公明党が力づくで封じにかかったとすれば、逆にますます造反を増やしていく結果となるだろう。公明党が民進党のように分裂した場合、あるいは有志の創価学会員たちが公明党とは別の政党を立ち上げた場合、自公の選挙協力は大きく失速し、今回以上にますます与党にとって難しい局面になっていくはずである。
■上西充子著 「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)
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■参院選の野党共闘の合意13項目の第1項目 〜憲法第9条「改定」への反対〜 戦争リスクの排除が家計底上げ政策を保証
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