2019年08月20日18時53分掲載
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社会
佐野SAのストライキと臨時雇用による営業再開について全労連の伊藤圭一氏(雇用・労働法制局長)に聞く
栃木県にある東北自動車道・佐野サービスエリアの売店とフードエリアで労働者が経営方針をめぐって今月半ば、ストライキを起こしたことに対して、経営側が臨時雇用を急募して営業を一部再開したとされ、大きな話題になっています。争点はストライキの間に、経営者が臨時雇用で営業再開したことの是非をめぐるものです。テレビでは<再開を喜ぶ市民>・・・といった目線の報道もあったようです。そこでマスメディアのあり方まで議論になっています。そもそもストライキはどのようなことなのでしょうか? 労働組合に詳しい全国労働組合総連合(全労連)の雇用・労働法制局長の伊藤圭一さんに、今回の件に関して寄稿いただきました。
伊藤圭一さん
「詳細を知らないので、佐野SAでのストライキについて(戦術の良しあし等含め)直接語ることはできません。ただ、「お客に迷惑」「再開歓迎」という見方がある一方、臨時スタッフによる営業再開に対し「スト破り」と批判する指摘がネット上にあがり、労働者の権利としてのストライキへの理解が広がるきっかけとなっている点に注目しています。
労働者は憲法によって団結権、ストライキなどの争議行為を行うことを含む団体行動権を保障されています(憲法28条)。
労働者が、使用者との交渉において対等な立場に立つために労働組合を作り、交渉を求めたら使用者は応じなければなりません。また、労働条件を向上させるために行うストライキは正当な行為であって、それによって生じた損害に対して賠償を請求することはできませんし(民事免責:労働組合法第8条)、刑事罰を問うこともできません(刑事免責:労働組合法第1条2項)。
これほどの権利を付与するほど、憲法と労働組合法は、労働者が使用者と対等な立場で交渉をおこなうことを重視しています。
ストライキについて、威力業務妨害であるかのように否定的にみるのは、誤りであり、要求実現のための正当な行為であるという理解が広がってほしいと思います。
8月16日から、経営者は、お盆休み中の社員や関係者、別業者の協力を得て営業再開をしたそうですが、労働組合側と団体交渉を行いもせず(不当労働行為)、ストライキの切り崩しを目的に臨時の労働者を動員して操業(スト破り)を行ったのであれば、労働者の団結権・団体行動権に対する侵害とみなすべきです。
マスコミに対して、社長はスト中の労働者と連絡がつかないなどと話したそうですが、団交拒否をしているのは、社長側ではないか、と疑念をもっています。事態収拾のためには、まず、社長が団体交渉に応じることです。」
解説 : 伊藤圭一
全国労働組合総連合(全労連)の雇用・労働法制局長
※佐野SAスト社員が公開質問状「融資凍結で経営危機」(日刊スポーツ 8月18日)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201908180000418.html?Page=2
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