2019年09月08日02時08分掲載  無料記事
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文化

ポール・ラルケンズのTED講演 「なぜ大多数は常に間違えるのか?」

  オランダで脳力を最大限高めて創造性を発揮するすべを研究しているという人物、ポール・ラルケンズ(Paul Rulkens)氏によるTED講演の記録。論題は「なぜ大多数は常に間違えるのか?」。大多数、というのは英語で言えばマジョリティであり、マイノリティの逆ですね。 
 
  さて、ラルケンズ氏のTED講演のつかみはアインシュタインのエピソードから。1942年にオックスフォードで教鞭を執っていたアインシュタインは物理の試験を行ったあと、キャンバスを歩いていた時に彼の助手から質問を受けた。 
 
助手「先生、これは去年の問題とまったく同じじゃないですか。しかも同じ学生たちのクラスです。どうして、そんなことができるんですか?」 
 
 するとアインシュタインは、こう答えた。 
 
教授「なぜって、正解が変わったからじゃよ」 
 
  これでラルケンズ氏は聴衆の心を笑いでぐっとつかみました。ラルケンズ氏は講演で通常97%の人が間違いに固執しており、新たな解決法を見つけるのは3%に過ぎない、と言っています。しかし、この3%が次代のパイオニアになるのであり、97%は3%に仕える運命にある・・・。 
 
  ラルケンズ氏がそう考える背景は、人は通常、倫理や技術や法律などの様々な掟や常識に縛られており、狭い思考しか行っていないということです。自分で自分を狭い檻に追い込んでしまって疑うことすらしなくなっていると言うのです。今日、テレビはマジョリティのメディアですね。マイノリティはインターネットです。 
 
  ラルケンズ氏は最初は化学の研究者だったそうですが、のちに脳力開発の研究に転じたとのこと。オランダのマーストリヒトで暮らしているそうです。ラルケンズ氏は脳科学者の言葉を引いて、<モノを考えることはエネルギーを多量に要する。だから、できるだけ楽な方向に向かう。思考をできるだけ切り詰めようとする。その典型は自動操縦みたいに無意識で動くことである>と言っています。ソーシャルメディアでも考えずに、すぐに反応する人は多いです。 
 
 
※ポール・ラルケンズ氏のTED講演「なぜ大多数は常に間違えるのか?」 
https://www.youtube.com/watch?v=VNGFep6rncY&fbclid=IwAR3uCggkzQwdx3BDX1aFnrPpsRfIT3C3ZaK0fbUgZuVLzKPbF1BerboG1hU 


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