2019年09月18日10時56分掲載  無料記事
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永井孝尚著「世界のエリートが学んでいるMBA必読書 50冊を1冊にまとめてみた」

  KADOKAWAから出版されている永井孝尚著「世界のエリートが学んでいるMBA必読書 50冊を1冊にまとめてみた」は、10年前の自分なら、あるいは6年前と言ってもいいが、書店でみかけても積極的に手にすることはなかったタイプの本だ。しかし、今日、メディア産業の多くが経営の危機に陥っており、コンテンツも利益も低下している中で出口が見えない状況では、輝いて見えた。というのは、マクロ経済を扱う経済学はジャーナリズムのコンテンツ作りに役立ったとしても、自分がその業界で生きていくための組織づくり、資金作り、あるいはビジネスモデルの形成には役立たないからだ。今、政府によるジャーナリズムへの強いプレッシャーのもとで、メディア産業は持続することに苦労し、節を曲げたり、仲間を切り捨てたり、仕事の質を落としたりしている。これを解決するには、哲学や思想、あるいは信念と言ったものだけでは太刀打ちしようがない。こうした状況を突破するには経営者のノウハウや思考が必要なのではないかと思うようになった。 
 
  本書で紹介されているハワード・シュルツ著「スターバックス再生物語」やシュンペーター著「企業家とは何か」、クリステンセン著「イノベーションへの解」、ハメルとプラハラード著「コア・コンピタンス経営」、デン著「人を伸ばす力」、グラント著「GIVE & TAKE 『与える人』こそ成功する時代」、ポーター著「新訂 競争の戦略」、ムーア著「キャズム Ver.2」などは、アメリカの経営学を学ぶ人たちの必読書ということだが、今の経済世界がどのような戦略や思想で経営されているかが学べるし、そこから、今陥っている泥沼からの出口につながるヒントもありそうな気がする。 
 
  今、本を出すと言っても一部の本を除くと、その労力や時間に対して儲けはほとんどないに等しい。ネット新聞からは1円も入ってこない。そこにどれほどの時間や労力をつぎ込んでも「ありがとう」の声1つないのが実情だ。自己満足でやっているから僕の場合はさして問題はないが、これでいいとは思っていない。こうした状況は何に起因し、どうすれば持続可能なメディアを創れて、またそこに参画できるのか。こういった課題は左翼的な言葉の中では解決が難しいのかもしれない。左派の人々は大上段で経済について苦言を弄するが、もう少し身近なレベルに目を落とすと、経営についてこれまで本気で学んできたとは言えないのではなかろうか。自分への反省を込めて。 


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